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38:再会

 部屋に入った僕達三人は、これからしばらくここに留まる事で意見が一致した。

 たとえランと同じような術を使える人がいなかったとしても、このまま旅を続けるよりは一旦ここで情報収集を行った方がいいという考えだ。

 勿論、これは積極的意見ではなく消極的だ。駄目と言われたら無効になる。

 そこへ誰かが部屋の中に入ってきた。

「失礼致します」

 そう言って現れたのは櫻さんではなく、僕のよく見知った顔だった。

「ライム?」

 そう言われたほうは顔を僕に向けて、目を見開いた。

「ラベンダ、かにゃ」

 頷くと正座をしたまま寄ってきて、僕は顔を撫でられる。

「おっひさっしぶりー。もう何年ぶりになるのかな」

「三年だ」

「そうだったね」

「それより、何でライムがここに」

 僕が最後まで言い終わる前に、大犬さんが割って入ってきた。

「ちょっと待ってくれ。俺の思考が付いていけないんだ。ラベンダって、あのラベンダ・フロウ第一王子だよな」

 僕は頷く。

「んで、ライムって、あのライム・ブルベル第一王女だよな」

 ライムは頷く。

 大犬さんは頭をわしゃわしゃと掻き毟り、訳が分からないといった表情で続ける。

「何で、第一王子と第一王女が、こんなぼろ旅館に揃うんだよ!」

「この旅館のどこがぼろ旅館じゃ、このバカ大犬!」

 急に顎鬚をたっぷりと蓄えた男の人が、部屋に入ってきた。

「おっ、杉じい、久し振りだな」

 大犬さんは立ち上がり、杉じいと向かい合う。

「その呼名は止めんかい、バカ大犬。ワシはまだ四十路もいっとらんわい」

 あの顔で三十代とは驚きだ。

「杉じいもその呼び方は止めてくれよな。もう俺はバカじゃ無いんだからよ」

「まあよい、久し振りだからのう。また今晩会おうではないか。失礼したな。さらばじゃ」

 扉が閉められ、杉さんの姿が見えなくなり、大犬さんが杉さんについて説明を簡単にした。

「あの杉じいはここの主人で、櫻さんの旦那だ」

 するとシロツメさんは話す機会を窺っていたような風で話し出した。

「人は見かけによらないものですね。所で、さっきの事なのですけれど」

 大犬さんが元の場所に座る。

「あくまで仮説ですが、私たちがここにこうして集まったのは、偶然ではないと思うのです。ラベンダ、ランとサザンカを呼んできてくれますか。ライム王女もここにいてください」

「あ、はい」

 僕は立ち上がり、隣の部屋にいる二人を呼びに行った。

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