表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/53

33:窃盗団、かな

 僕達が歩いていると、悲鳴が聞こえた、気がした。

「シロツメさん、今の」

「路地の奥からだろう」

 僕はそれを聞いて駆け出す。

 人混みを抜け、声が聞こえた路地に入る。人通りが無く、薄暗かった。

 左に一回、右に一回と曲がると六人の人相の悪そうな男に取り囲まれた女性がいた。

 足音に気付いたのか、男の一人が振り向く。

「何だ、お前?」

 その声に、他の五人も振り返る。

「言う必要は無いと思うが。それよりも、その子は嫌がっているように見えるが?」

 シロツメさんが強い言葉で言う。

「そうあんたらには見えるか、え? でもな、こいつは、喜んでるよ」

 そう言いながら、リーダーであろうその男は女性の後ろに回り、首に腕を回す。

 女性は男が触れた瞬間びくりとなって、目を閉じてしまう。

「僕には嫌がっているようにしか、見えないね、この下衆どもが」

 強気でいかないと行けない。というか、こいつら相手に弱気になる事は無いだろうが。

「なっにー。子供のくせして、生意気なんだっよ」

 言葉が終わると共にこっちに殴りかかってくる。

 僕はそれを難なく交わして、背中に肘を叩きつける。

 それだけで、その男はうつ伏せに倒れた。

「何だ。こんなに弱いのなら、剣なんて使う必要もないね」

 嫌味たっぷりにそう言うと、リーダーを除いた残る四人が一斉に襲い掛かってきた。僕だけに。

 シロツメさんは足音も立てずにリーダーの後ろに回りこんでいる。

 僕は最初に掛かってきた男に近づいて、鳩尾を思いっきり殴る。そいつは倒れ、そして僕は一旦距離を取った。

 実は、人間相手の喧嘩は久し振りだ。カブリサとやり合ってからも十日以上経っている。

 さっきは挑発するような事を言ったが、実は焦っている事も確かだ。殺してはいけない、と。

 一人が歩いて寄って来た。視界には二人いる。

 考えている間に後ろに回り込まれたようだ。

 意識を集中させ、後ろへゆっくりと歩く。

 前から来る男は僕とほとんど同じ速さで歩いている。

 あと三歩後ろに一人の気配がある。

 あと二歩。

 一歩。

 そこで急に姿勢を低くし、後ろの男に回し蹴りをくらわせる。

 二の足に当たり、男はさっきから倒れていた男の上に倒れこんだ。

 そいつが起き上がる前に、前の二人に駆け寄る。

 前衛の拳骨を体勢を低くしてかわし、そいつを右側に突き飛ばす。

 そしてその後ろにいたやつを下から殴り上げ、倒す。

 突き飛ばされたのは警戒したようで、僕から少し離れた位置にいた。後ろにいた男も一緒だ。

 ちらとシロツメさんを見ると、リーダーは伸されていて女性は助け起こされている。

 そこで、僕は逃げた。

「おい、こら、待て」

「待てといって待つ奴が、どこにいるんだ」

 そう言い合いながら、二人の男が追ってくるのを確認して大通りまで出る。

 そこで人込みに紛れた。

 意外と短絡的で助かった。追ってこなかったら逆に不味い状況になっていたかもしれない。僕も短絡的だったと反省する。

 少し歩いた後、さっきの路地に戻り、中を進む。

 そして、さっきの場所にそのまま倒れている四人と、シロツメさん、それにシロツメさんに支えられた女性がいた。

「流石ですね、ラベンダ。一人で四人を相手にするとは」

 シロツメさんが誉めてくれる。

「いや、シロツメさんも気配も無く後ろに回り込めるなんて、凄いですよ」

「あ、あの、有難うございます、助けていただいて」

 僕が言い終わった途端、溜めていたであろう言葉を一気に言った。

「いえいえ、偶然ですよ。とにかくここを出ましょう」

 僕がそう言って後ろを向き大通りに戻ろうとすると、女性が声を上げた。

「あの、反対側のほうが、私の家が近いですし、それに、お礼も」

 シロツメさんの方をもう一度向く。

「折角の事ですから、ありがたくそうさせてもらいましょう、ラベンダ」

 僕は頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ