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プロローグ4

 舞踏会には、色とりどりの服を来た女達、そしてタキシードを着た男達がいる。

 僕は入口から一番離れた所に作られた台の上の椅子に座っている。

「ほっほっほっ、どうですかな、ここボタンの少女達は」

 町長が聞いてきた。

 僕の隣に置かれた椅子に座っている町長は、白い髪と髭を沢山生やし、細い目で動き回る男女を見つめる。

「まあ、王宮の人よりも、可愛らしいですね。服と容姿が良くあっている」

「そうでありましょう。皆、昨日から準備をしたのですよ」

 昨日からという事は、僕が来る前から、しかもたった一日で、あの服を揃えたという事だろうか。

 緩やかなワルツが流れている。演奏の方はまあまあだった。

「ところで、町長、この町に魔法使いがいる、と聞いたのですが」

 町長の細い目が開かれたように感じたが、しかし変化は見られなかった。

「ほう、あの子の噂がフラウまで届くとは、はっはっはっ、まだまだ世界は狭いですな」

「あの子、とは?」

「名は、なんと申したかな。たしか」

「ラン、ですよ、町長」

 後ろから声が掛かった。先ほどから立ったままで、町長と僕の後ろにいる長身の男性だ。

「おお、そうだった。ランじゃったの。ありがとう、シロツメ」

 シロツメと呼ばれた彼は、屈めた体をもとの姿勢に戻す。

「ラン、ですか」

「そうじゃ、ランと申してな。あれは、世に言う魔法とは、ちと違うの」

「違うのですか?」

「うむ」

 この話し方、伯父上に似ている。

「世に言う魔法とは、火を使ったり、まあ何かを出す、ものなのじゃが、ランの魔法というのはな、たしかのう、物を動かすことなのじゃ」

 そう言って手を使って物を動かす様子を示した。

「それはつまり、空を飛ぶ、あるいは飛べる、という事ですか」

「まあ、わしは見た事が無いが、たぶんできるであろう」

「それで、彼女はどの方なのです」

 町長は動き回る人たちを見つめる。

「ほほう、少し待たれよ」

 町長は細い目をより細くして、人を見ていた。

「どなたですか」

「うむ、それがの、見えんのじゃ。最近、視力が落ちてきての。さて、シロツメ、この中にランはおるか」

「ございません、町長」

「そうかの。いないそうじゃ、若いの」

 若いの、と呼ばれるのは初めてだった。まあ、町長と比べると六十歳以上若いのだろう。否定はできない。

「それならば、どこにいらっしゃいます、町長」

「そうじゃのう。図書館、かの」

「私がお連れ致しましょう」

 シロツメが町長と僕にそう言った。

「よろしく頼むぞよ、シロツメ。では、行ってくるがよい」

「ラベンダ王子、こちらへ」

「分かった」

 魔法使いについに会えるという喜びをなんとか隠しながら立ち上がり、シロツメに付いて行った。

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