32:夕食
僕とシロツメさんがラン達と合流をすると、早速ランが僕に耳打ちをしてきた。身長差のせいでランが背伸びをしても耳まで届かなかったが、僕が中腰になってやっと届いた
「ねえラベンダ、私ね、水の球が作れるようになったの。それも、簡単に」
ランの嬉しそうな顔を見て、自然と笑みがこぼれる。
「よかったね。これで一歩、成長したわけだ」
そう言って、緑色の髪の毛をぐしゃぐしゃしてあげた。
目が細くなって、より嬉しくなったのだということが分かる。
「まあ、まだ先は長い。ゆっくり付き合っていけばいいよ」
「うん」
まるで子猫のような顔で素直に頷くラン。
サザンカと並んでいると感じなかった事だが、こうやってよくよく見ると可愛かった。
にっこりと微笑んだランは、服と髪をたなびかせながらサザンカの元へ走っていった。
そのまま歩き、菫さんと大犬さんのやっている露店に行く。
近くまで行くと、周りの喧騒に負けず劣らずの菫さんの声が聞こえてきた。
宿に泊まり、出発は明日という事になった。
宿の一階にある食堂で夕食を食べている時だった。
「ところで、シロツメさんとラベンダはどこに行っていたの?」
ラベンダが聞いてくる。
「んああ、ちょっと色々あってな」
「色々?」
「そう、色々だ」
「どんな事なの? 少しだけ興味があるのよ」
シロツメさんをチラッと見る。
いつもの無表情のまま、こくりと頷いた。
視線を戻す。
「それじゃあ、話すか。ちょっと長くなるかもしれないが」
そう前置きをして、今日あった出来事を話し始めた。




