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31:蒲公英

 子供達の要望に答えているうちに、いつの間にか夕方になっていた。

 人だかりは自然と消えていき、残ったのは私たち三人になった。

「ねえ、お姉ちゃんたちは、どこから来たの?」

 この少女、タンポポは母親が迎えに来るまでここに残るようだった。

「えっとね、フロウ国のボタン、っていう町よ」

 サザンカが答える。

「それでそれで、ランお姉ちゃんは、あんな凄い手品、どうやったの?」

「それは、秘密ですよ」

「教えてよー」

 腕を掴まれ、左右に振られる。

 サザンカが何かを言う前に、私がこう言った。

「それじゃあ、ヒントだけね。この水面を見ててごらん」

 噴水の池の水面を指で指す。

 タンポポちゃんは階段状になっている側面を二段ほど上り、中を覗き込んだ。

 私は精神を集中させる。

 頭の中の想像を鮮明にさせ、その通りに動かす。

「なんか出てきたよ!」

 その言葉を聞きながら続ける。

 今やっているのは、この前、川を渡る時にできなかったもの。

「水のボール?」

 球状に丸めた水を持ち上げる。

 感覚で全体が水面から上がったことが分かる。大体大きさは15ミリピンチ。

 その水の球を手元まで持ってくる。

 意外と、難なくできた。

「凄いね、お姉ちゃん」

 元の位置に腰掛けたタンポポが言った。

 水の球は、私の両手から少し浮いた状態で止まる。表面が波打っていた。

「私ね、昔からこういう事ができるの」

「魔法みたいだね」

「そう、だね」

 まさに、魔法、なのだろう。

 物を動かすという事が魔法なのか、という疑問、あるいは拒絶があったが、今こうしているとどことなくレイアさんと自分がかぶる。

 急にタンポポが立ち上がった。

「あっ、お母さんだ」

 そう言って階段を下り、こっちを向いてお辞儀をすると、向こうに駆けて行った。

 お母さんと思われる人物が、タンポポと少し話した後、こちらに向かってお辞儀をしてくれた。

 こちらも礼をする。

 二人の親子は、広場から消えて行った。

「ラン、まだ大丈夫なの?」

 何のことか分からずに、サザンカのほうを見る。

「いや、この前は水の球を作っても、できなかったでしょ。でも、今はそんなに長い間作ってるし、他の事に気をそらしても大丈夫みたいだったし」

「あ、その事」

 その事なら、今分かった。私のこの術は、レイアさんの魔法と、全く同じもの。この感覚は、そのはずだ。

「うん、何か結構強くなってきたみたい」

 でも、その事は言わないでおこう。レイアさんと同じだとしても、もし違っていたとしても、大差は無いのだから。

 水の球は、そっと池に戻しておいた。

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