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ランは戻って来そうに無い。
「貴方が考えている事は分かるわ。でも、貴方はそれを分かっていない」
メロンは顔をこちらに向けた。
「貴方は、自分の心が分からないと言った。でも、それならば何で貴方は自分の心が分からない、という風に考えている事を口にできるの?」
「それは」
彼は言葉に詰まる。
「それに、自分の本当の心が分からなくても、自分の心だろうと考えるものは有るわけよね」
沈黙を肯定と受け取る。
「私には、貴方の心が今どんな事を考えているのかは分からない。でも、それを想像する事が出来るのよ。想像って、何だと思う?」
急な質問に、彼は戸惑ったようだったが、しっかりとした口調で答える。
「想像って、頭の中で色々と考える事」
「まあ、ある程度、正解。でもね、相手の気持ちをあるいは心を、ある程度、理解できないと、想像はできないと思わない?」
返事は無かったが、そのまま続ける。
「つまり、考えるっていう事は、相手の気持ちを理解するっていう事なのよ」
単純な三段論法になってしまったが、彼はこれで充分だろう。
そもそも、理解できるあるいはできないという議論の内容を、理解できるとは思えない。
彼は立ち上がり別れの挨拶をすると、とぼとぼと広場から出て行った。
彼は、本当は何をしたかったのだろうか。
その後は、ランに言わせれば平和な時間だった。
一人でのんびりとベンチに座り、ランが男の子達と遊んでいる様を見る。
いつの間にかランを中心に円ができていて、その中心にいるランはリュートを弾きながら歌を歌っている。
それならば、と私もランの隣に行き、皆と一緒になって歌を歌った。




