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「分かんないネ」
レイアさんがあっさりとそう言った。
「ここがどこだか、分からないの?」
「そうネ。分からないわネ」
周りを見渡すと、丸い形をした木が所々に生えていて、山が遠くにあった。
「ごめんなさいネ。ランちゃんの事考えないで、あいつの事捜しちゃったから、もとの場所に戻れなくなっちゃったの。本当に、御免」
そう言って、私にお辞儀をしてきた。
「いえいえ、大丈夫ですよ、多分」
レイアさんは首を左右に振る。
「実はネ、ここはもうあなたのいた世界じゃあないの。飛(leap)しちゃって」
唖然とする。
開いた口が塞がらない、とはまさにこの事だった。
「うそ?」
レイアさんは、もう一度首を左右に振る。
「ほんとじゃあないことはないなんてことはないようなかんじがしないのよ」
「はい?」
「だから、ほんとじゃあないことはないなんていいたくはないけどそうじゃあないようなかんじがしないことがないことはないの」
意味が分からない。つまり、どういうことだろう。一応聞いてみる。
「つまり、嘘、という事ですか?」
「嘘じゃあないネ」
やっぱり、違う世界に来てしまったようだ。
「それじゃあ、帰れないんですか?」
「え? 飛(leap)する必要はないよ」
どういう事なのか、分からなかった。頭の中で、本当と嘘がめまぐるしく回転している。
「えっと、つまりレイアさんは、飛(leap)していない、という事なの?」
「そうよ。さっきそう言ったじゃない。うふふふふ」
レイアさんは笑い出した。
「まあ、まあ、この話はこれでお終いにして。私はこれからあいつを追わないといけないから、あなたは自力でさっきの町に帰ってね。それじゃあ、頑張ってね」
ウインクをすると立ち上がり、少し私から離れた位置に立つ。一瞬淡い青白い光が地面に現れた。多分、あれが魔方陣なのだろう。ずっと前に絵本で読んだ記憶があった。そんな事を考えているうちに、レイアさんは霧のように消えてしまっていた。
残ったのは私一人。右手を見るといつのまにか箒を握っていた。




