16:捜索後
ラベンダは少しすると帰ってきた。この町にも雨が降ってきて、危険だと判断したようだった。
雨が止んでからも水が町に浸入することは無かった。私はしばらく図書館の中にいたので見なかったが、川は穏やかだったそうだ。
しかしランが帰ってこなかったので、私達は町の周囲を探した。
曇っていて時間が分からなかったが、日が天頂に達したであろう頃に集合した。しかし、誰もランを見付けられなかったようだった。
ひとまず町の食堂へ行って、昼食を取ることにした。
「ねえ、ランはどこ行ったの?」
答えが返ってこないと知っていながらも、聞いてしまう。これにシロツメさんが答えてくれた。
「私には分かりません。川には強固な堤防が築かれていましたけれども」
「強固な堤防?」
「そう。しっかりと固めた土が川の両岸に作られていましたね」
「それって、ラン一人じゃあ、できない事よね」
「そうですね」
図書館から外に出た人はいなかった。ということは、他に外部から誰かが来て、ランを助けたことになる。フロウ軍の一旅団程度の人が必要なはずだ。
それだけの人が来たのならば、誰かが気づいたはずだ。だけど、誰も気づいていない。つまり、少人数でその堤防を築いたことになる。
「ていうかさ、今は堤防を誰が作ったか、じゃなくてランがどこにいるかを考えるべきだろ」
ラベンダに言われてハッとする。
私としたことが、ランのことを考えていなかった。
「馬車とかの音はしなかったから、歩いているはずだ。となると、そう遠くには行っていないんだ。でも、さっき探したときはいなかった。足跡も無かった」
「つまり?」
「つまり、ランは空を飛んでどこかに行ったことになる。それなら、この辺りにいない理由が説明できるんじゃあないかな」
「という事は、ランは一人でどこかに行った、っていう事になるわよね」
「そうだな。とっても速く動けたり、ランみたいに空を飛べたりしない限りは、そうなる、だろう」
「なあ、ちょいと、口挟んでいいかい?」
菫さんがそう言ってきたので、続きを促す。
「話を聞いてると、どうやらランちゃんは魔法使いかい?」
その質問に、私は本当の事を話す。
それを聞いて、菫さんが話し出した。
「関係あるかぁ、分からんが、一応言っておくか。あたい、丁度あんた達が図書館に入ってきたくらいん時にさ、窓の外が少しばかし光ったんを見たんだよ。それも花火みたいにな」
「花火?」
ラベンダが不思議そうな顔をした。無理も無いだろう。花火はナデシ国の夏の風物詩で、この辺りでは見ることは無い。
「ああ、花火な。この辺りじゃ知らないかい。まあ簡単に言っちまえば、空中に丸い光の球が出現したと思や、いいんだろうよ。確か、北の方だったと思ったが」
空中に突然現れた光の球か。ランと何か関係があるのか。
いや、そもそもランはそんな事ができないはずだ。物を動かすだけなのだから。
「となると、他に誰かがいたのかしら」
そう呟いてみた。




