11:川
目が覚めると、周りはもう明るかった。
起き上がると首筋が痛かった。野宿をする都度に、ベッドが懐かしくなってくる。
私たち六人は朝食を食べた後しばらく休んでから出発した。
しばらく歩くと、森が無くなって平原が広がった。所々に丸い木が生えている。
そのまま歩く事一時間、川が見えてきた。
それほど大きくはない川だが小川とも言えない、曲がりくねった川だった。
川岸まで辿り着いたが、橋のような物は無く、渡り舟も見つからない。
「ねえ、サザンカ、何か見える?」
「見えることは見えるけど。対岸に、船が一隻あるだけみたい」
私はすぐには見つけることができなかったが、サザンカの指すほうを見て見つけることができた。
木製の小舟である。少し波が立っているために、見えにくくなっていた。
「こりゃあ、困ったな。このまま渡るわけにゃ、いかないだろ」
大犬さんの言う通りだ。歩いて渡ることは無理である。
「困りましたね。このまま待ちますか」
私はシロツメさんの言葉に従う事にした。
「そうしよう。急いでいる訳じゃ、ないんだし」
そう私が言う。
しばらく六人で川岸に座っていると、シロツメさんが話し出した。
「それでは、せっかくですので、一つ問題を出しましょうか」
シロツメさんが問題を出すのは久し振りだった。シロツメさんの周りに、私を含めて四人集まってくる。菫さんは少し離れた所に座っていた。
最後に問題を出したのはいつだったか。確か、三角形の数を数えた気がする。
「問題です。ここにある猟師がいました。彼はちょっと風変わりで、いつも犬と羊を連れています。もちろん、羊の餌となる草も持ってきています。彼は猟に行き、狼を一匹、虎を一匹捕まえました。虎を捕まえる事は予定に有ったので、虎は檻の中に入れられています。彼は猟からの帰り道、川に差し掛かりました。その川には橋が掛かっていなく、代わりに船が一艘ありました。木製の船で、猟師とあと何か一つの物、あるいは動物しか運ぶ事ができないようです。さらに、来る時には犬を檻に入れて運ぶ事が何とかできましたが、虎を檻に入れたまま運ぶと船が沈んでしまいそうです。さて、猟師は困りこんでしまいました。実は、羊は目を離すとすぐに草を食べてしまうのです。それは避けなければなりません。なぜって、家に帰るまでの羊の食料が無くなってしまうからですよ。まあ、猟師か犬がいれば、羊は草を食べないようにしつけてあります。さらに困った事があります。それは狼です。この狼は凶暴で、目を離すと、犬や羊を食べてしまいそうなのです。檻に入れれば大丈夫なようですが、入れたら今度は虎が外に出ることになってしまいます。虎も凶暴で、犬や狼を食べてしまいそうなのです。幸いにも、羊は虎に食べられる事は無いように、虎の前では毛玉のように丸くなっています。猟師は考えました。草、羊、犬、狼、虎、檻。全部を無事に対岸に移すことはできないかと。できるだけ体力は消耗したくないので、移動する回数は少なくしたいとも思います。そしてしばらく考えた末に、皆を対岸に移すことに成功したのです。さて、この猟師はどのように移動したのでしょうか」
「シロツメさん、それ、簡単よ。分別過ぎれば愚に返る、っていう諺通りだわ」
サザンカが即座にそう言った。私は、その言葉の意味も、問題の答えも、すぐに分からなかった。
よく知られている、猟師が狼と羊と草(キャベツ?)を対岸に渡すゲームを拡張しました。
もとのゲームは、こんな感じ。
「ある猟師が川に差し掛かりました。彼は、狼と羊と草を持ってきていました。船が一艘しかなく、その船では、彼自身と、狼または羊または草のいずれか一つしか運べないようです。しかし彼がいないと、羊は草を食べてしまい、狼は羊を食べてしまいます。さて、どうすれば彼は三つの物を無事に対岸に運ぶ事ができるのでしょうか」
ちなみに、シロツメさんの出した問題の答えは、最低が四往復半です。




