8:六人で
大犬さんに見せてもらった武器の数々は、僕が初めて見る物も多く、使い方さえ分からないものもあった。
見せてもらった後、菫さんと大犬さんと一緒に夕食を食べることとなった。
二人とも気さくな人で、会話は絶えることが無かった。
食事が終わったあたりで、シロツメさんが大犬さんに聞いた。
「一つ聞いてもいいでしょうか」
「シロツメさん、そんなに改まらなくてもいいぜ。寒気がする」
「すみませんね。こういう喋り方しかできないもので」
「まあいいさ。んで、なんだ」
「これから、どちらに向かわれるのでしょうか」
シロツメさんの言葉が、いつに無く改まっている。僕も寒気がしてきた。
「どこだったか。なんだか、言いにくい名前だったな。ヒナガンバ、だったっけか?」
大犬さんに代わって、菫さんが答える。
「ヒナンガバ国――位置はインドに相当――だろ。それくらい覚えとけ。これからあたい達は香辛料を取引にいくから、そこまで行くのが色々と便利でな」
たしか、ヒナンガバ国はプラナ大陸の東地域の交易中心国だ。特産品は胡麻・茶葉・糸。
「それだったら、私達もアカンス国に行った後、ヒナンガバまで行こうよ」
明るい声で言ったのはランだった。まあ、僕は反対する理由が無いのでこう言った。
「まあ、良いんじゃあないのか。ランが行きたいのなら、な」
サザンカやシロツメさんも同意する。それを見ていた菫さんが提案をする。
「そんなら、あたい達と一緒に行くか」
「うん。そうしましょう」
ランの同意により、以後六人で旅をする事になった。
シロツメさんの無表情はいつもの通りだったが、隣にいるサザンカがその顔を見て一瞬戸惑ったように感じた。
この後僕は、ランが菫さんの持っていたリュートを弾きながら、それに合わせてサザンカが歌を歌う所を、驚きながら聞くこととなった。王宮にいる演奏家よりも上手い、とさえ思えるほどの腕前だったのだ。




