序章その2
「別れの挨拶は済んだのか?」
そう聞くと、目の前にいる制服姿の男子、 落合 竜也おちあい りゅうや は少し悲しそうな顔で言った。
「ああ、ありがと、もう十分だよ」
「りっく〜ん、竜也く〜ん、早くしないと扉閉まっちゃうよー?」
遠くの方で彼女の、そう、彼女の結衣が呼びかける。
「分かった〜今行くよ〜」
「ごめん、急ごう」
(ちょっと!早く行かないと置いてかれるじゃない!)
(えぇ?本当に行くんですか?)
(当たり前でしょ!あのバカだけ逃げるなんて許さないんだから!)
(落合先輩は別にバカじゃないと思いますけど・・・、どちらにしろ1人で行ってくださいよ、俺、あんな異世界に通じてそうな扉、くぐりたくないですよ〜)
(あんたは竜也に借りがあるでしょうが!今返さなくていつ返すの!)
(う、うぅ)
(ほら、行くよ?)
(うわぁぁぁぁやだぁぁぁぁぁ!)
扉をくぐると光のトンネルが続いていた、しばらくすると出口が見えてくる。
「着いたー!」
「これが・・・異世界」
「まぁ、とりあえず散策して住民に話を・・・・」
「うわぁぁぁぁ!!ちょっとタンマ!タンマ!」
「グフッ!?」
「陸人ォ!?」
俺たちがくぐって来た扉から何者かが飛び出して俺に激突した。
「亜希ちゃん!・・と確かヤス君?」
「いててて・・浅井さん、痛い・・」
「あ、ごめん!陸人君」
「はぁ・・・どこ探してもいないと思ったら、やっぱり着いてきてたのか」
「あれ、なんで着いてきたんだーって怒らないんだね?」
「お前一人が背負い込んでも、私達はちっとも嬉しく無い。だろ?」
「そうそう、分かってんじゃん!」
半ば諦めたような竜也の言葉に、赤いカチューシャを付けた女の子 浅井 亜希は満足そうに笑った。
「それはそうとして・・・」
「ひぃっ」
「なんでお前がいるのかなぁ?!」
「いだい!落合先輩!メリケンサックで頭ゴリゴリしないでぇ!」
「じゃあこれにするかぁ?!」
「ひぃぃっ!」
今、竜也に鉄パイプで殴られそうになっているスポーツ刈りは・・・ヤスである。。
「あぁ!相模先輩酷い!ちゃんと説明して下さいよ!多田 透ッス!よろしくッス!」
「あぁ?てめえ何「異能」使ってんだボゲェそして舐めてんのかボゲェェェェ!」
「うわぁぁぁ先輩!刃物はダメですってぇぇぇ!」
「相変わらず透君にはあたり強いねー竜也君」
「止めないあたし達もあたし達だけどねー」
「ぎゃぁぁぁ死ぬ!死ぬぅぅぅぅ!!」
『ウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!』
「うるさっ!!」
「なんだこれ?サイレン?」
『ゲームマスターから招集がかかりました、プレイヤーの皆さんを王都広場へ転送します。
繰り返します、ゲームマスターから招集がかかりました、プレイヤーの皆さんを王都広場へ転送します、
ゲームマスターから・・・』
「ぎゃぁぁぁ!!先輩!吸収はシャレになりませんって!やめてぇ!」
「あ?お前なんか保存したら他の素材が腐っちまうだろーが」
「じゃあ何すかコレ!?体が消えるうう!」
「うわぁ!りっくんこれヤバイよ!」
いつの間にか俺たちの体も徐々に消えて行っている。
そこで俺の意識は途切れた。
気がつくと俺たちはおびただしい数の人ゴミのなかで立っていた。
「なんだあれ?城?」
「城だねぇ」
「つーかこれ、どういう状況?」
「さぁ?」
さて、この世界でやるべきことは、何だろう?
第二話です!
今回は謎の五人組が中心となっています。
何やら普通ではなさそうな彼らは一体?
この五人組の正体については追い追い説明して行きます!
次回
<ただいまから!皇帝、シャルル・アレクサンドロスの、演説を始める!>
〜序章その3〜