いちごオレ 1
放課後
今日は杏梨は委員の仕事があるから1人の帰り道
『……(お腹すいた)』
あの後大和と別れてご飯を食べようとしても
口に入らなかった
喉の下らへんがギューとしてて苦しかった
『……(コンビ二寄って帰ろう)』
帰り道の途中にあるコンビ二に入った
入口らへんにガラ悪そうな人たちがいたけど
「ギャハハハハ
なにそれうけんだけどーー」
「まじなんだってー」
「まじかよー」
『……(うるさい)』
なんとなく飲み物のコーナーに行った
何気なく商品を持ってレジに向かった
「95円になりまーす」
『……』ゴソゴソ
「ストローお付けしましょうか」
『……』コク
「はい、
では100円お預かりします
5円のお釣りとレシートになりまーす」
『……』ガサ
「ありがとうございましたー」
―……
『……』ハッ!!
気づいたらコンビ二の外にいた
右手には小さめな袋
その中には
いちごオレが入っていた
『……ッ!!』
それだけで頬が赤くなる
コンビ二の横にたむろってるガラの悪い人たちの
下品な声など耳に届かないほど
胸が締め付けられて苦しい
『……?』
とりあえず買ったばかりでまだ冷たいいちごオレに
ストローをさして一口飲んだ
いちごの香りとともに甘酸っぱい風味が口いっぱいに広がって
心を支配する
一度飲んだら忘れられない
まるで秘薬のようで
『……』
飲むだけで
あなたの笑顔が思い浮かぶ