肆
その日、俺の体温が異常な程高温を来たしていた。
体がダルイ。節々が痛い。
朦朧としながら、寝て起きてを繰り返していた。
どうやら、風邪を引いたらしい。
そんな軟弱に育った覚えはないのだがな…
とりあえず大人しく寝ているしか仕方なく、俺は思考を巡らせていたがいつしか深い眠りへ落ちてしまったようだった。
ふと意識が浮上し、瞼を押し上げると。
なぜか目の前に彼女がいた。
同じ、寝台の上だ。
呆然と彼女を見ていると、にこりと微笑まれ、口付けられた。
待て。
状況が飲み込めない。
なんで彼女が俺と一緒に寝ているんだ?
俺の体はまだ熱を持っていて、熱い。
思考すらいつもより働かず、混乱が増すばかりだった。
とりあえず、離れてもらおうと彼女の体を押したけれど、びくともしない。
逆に抱きつかれてより密着してしまった。
彼女は、密着しながら耳元で、「こうしていると、早く風邪が治るのですよ」と囁いた。
とりあえず、事実はさておいて彼女は離れる気はないことがわかった。
ただでさえしんどいのだ。
考えることを放棄して、彼女のしたいがままに任せることにした。
彼女は、俺の髪を手で梳き、背を撫で、時々唇を重ねる。
彼女と密着したままで、彼女の少しひんやりとした体温を感じる。
どれほど己は熱いのだろうか…
そして、はたと気づく。
俺は自分の体が何も纏っていないことに気がついた。
そして、直に伝わってくるということは、彼女も何も身に纏っていないのだろう。
!!!!!!??
それを考え、妄想してしまっただけで、体温がさらに高くなる。
頼むから、これ以上俺を振り回さないでくれ…
想い虚しく、彼女のスキンシップは朝まで続いたのであった。