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魔王様の日記  作者: kakeru
2/6


今日も彼女は変わらず俺の近くに控えていた。



今日は…そういえば、外回りの日だったな。

どこに行こうかとぼんやり思考を巡らせていると、彼女の声が聞こえてきた。




なんと、彼女が一緒に行きたいと言うのだ。

荒事でもあるし、何より彼女と一緒など心臓が持たない。


断固拒否の姿勢をとるも、彼女はどうしても行きたいと懇願してくる。



しかし、心臓がもたない。

連れて行ったらどうなることか…



口付けされてからというもの、俺は彼女を意識してしまっているのだ。


おそらく、初めて会ったときに一目惚れしたのだろう。


なんて不覚…



とりあえず、平静を装って拒否の姿勢を貫こうとしていたのに、あろうことか彼女は俺に近づき、耳元で囁いたのだ。


「どうか連れて行ってください」と。

あの甘い声で、耳元でお願いされてしまったのだ。

あと、ついでと言わんばかりに耳に息を吹きかけられた。


背中がぞくっとなり、俺は思わず頷いてしまった。



そんなこんなで、一緒に外回りをすることになってしまった。



俺は諦めて彼女を横抱きにし、ある集落に向かって移動を開始した。


3時間。

それは俺にとって苦痛であり、至福の時間でもあった。

彼女が俺にくっついているのだ。

彼女の胸が俺に押し当てられている。

首に手が回っている。

肩に彼女の頬が乗り、息が首にかかっている。


もう、限界が近かった。


少し離れてもらおうと必死に抗ったが無駄だった。



とりあえず、全速力でその場へ向かい、着いたら素早く彼女を下ろしてまっすぐ村長のところへ向かった。



もう、無理ーっ!!!



赤い顔を隠しながら、村長に主従の関係をきっちり叩き込み、村の巡回を済ます。



しかし、どいつもこいつも弱い…


相手にもならん



適当にいなして、彼女の元へ帰る。




もう1箇所回ることを告げ、彼女を横抱きにする。


すると、彼女はとても嬉しそうに微笑んで、俺にぎゅっと抱きついた。



ぎょっとするものの、ここに来るまでの道中を考えると、きっと何をしても無駄なのだろう。



諦めの境地で次の場所へ移動を開始する。




すると、彼女は何を思ったのか、大胆に俺の体を撫で始めた。


待て待て待て


少し離れてもらおうと思っても、結局びくともせずそのまま眼下に広がる森の中へ着地する。



顔が熱い。

隠しようもないほど顔が赤いのだろう。


彼女を下ろして、見てくれるなと手で顔を覆う。



ほんと、勘弁してくれ…



情けない声でお願いをすると、彼女の何を刺激したのかわからないが、顔を隠した俺の手を素早くどけて口付けられた。



2回目の口付け。


しかし、ただの口付けじゃなかった。



舌が俺の口の中に!!?



彼女は、とても口付けが巧かった。

何度も離れてはくっついて、繰り返される。

離れる度に、制止の声をかけるけれど聞き入れてもらえなくて。


結局彼女が満足するまで唇を貪られた。




もう、外回りに行く元気なんて残っているはずもなく。


彼女に、帰ると宣言してから、横抱きに抱いて城まで高速で脇目も振らず真剣に飛んだ。



彼女は何が楽しいのか、嬉しそうに笑って俺に抱きついていた。




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