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魔王様の日記  作者: kakeru
1/6


彼女に初めて会ったのは、俺が先代魔王を倒し世代交代をした後のことだった。


先代魔王の筆頭侍女にして、特異な魔力を持った、美しい女であった。



美しい艶やかな黒い髪をきっちり後ろでまとめて結び、はっきりした大きな目と、長い睫、少し高い小柄な鼻に、形の良い桜色の唇――

侍女の制服を着てはいるが、そこからでもわかるスタイルの良さ。



幼いながらに初めて彼女に会ったとき、見とれてしまったのは一生の不覚であった。





彼女は、先代から引き続き、俺の筆頭侍女になるそうだ。

初めて彼女の声を聞いたとき、凛とした、それでいて高く甘い声に、肌が粟だったのを覚えている。


「アメリアと御呼びください」と丁寧に礼をする彼女に、慌てて我に返り、うむ、と一言返事を返すだけで精一杯だった。



それから、主だった臣下が挨拶に来たが、俺の頭の中にはあまり入ってこなかった。






彼女は、よく俺の近くに控えている。


内心、とてもドギマギしていたのだが、それを彼女に悟られることがないよう必死に隠しながら、観察を続けた。




俺が魔王として政務に慣れ始めてきた頃、執務室で彼女と2人きりになった。



よくあることではあるのだが、なぜか今日はやたらと彼女の視線を感じるのだ。




怪訝に思って、彼女を見ると、なぜか俺に近寄ってきた。



…?

何だ?



黙って行動を見守っていると、あろうことか俺を抱きしめてきた。



!?



びっくりして固まっていると、彼女の手が俺の身体を撫で始めるではないか。



!!?



咄嗟に彼女の手を止めようとして気づく。


彼女の顔が、とても近い。



と思った瞬間、口付けられた。



目の前には彼女のきれいな顔が度アップで写りこんでいる。

彼女は目を伏せ、少し頬を染めていた。



体も思考も固まっていると、彼女の唇が俺のそれからそっと離された。




彼女と視線が合うと、一気に体温が上昇する。




い、い、今、唇が…!!!?



内心とても混乱していた。



俺はとりあえずいてもたってもいられなくて、彼女の前から走り去った。




うわぁぁぁぁぁ



ダッシュで自室に閉じこもり、包布を頭から被ったのは、俺だけの秘密だ。










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