昔話2
その日、魔女は家から少し離れた場所で青年のために薬草を摘んでいました。
すると、何やら人の声が聞こえてきたのです。魔女はとっさに木の陰に隠れました。恐る恐る声の聞こえた方を覗いて見ると、城の兵隊達が居たのです。何故、城の兵隊がこんな所に?そう思った魔女は兵隊達の会話に耳をすましてみました。その内容に魔女は耳を疑いました。
『早く奴をあの青年を見つけろ!出来るならば生きて連行するが、抵抗するならば殺しても構わん!!』
いつの間にか魔女は家に向かって走って居ました。兵隊達が言っていた青年は間違いなく魔女が3日前に助けた青年でした。
何故青年は兵隊に追われているのか、あの傷は兵隊から逃れる時に負ったものなのか、青年は一体何者なのか…。魔女の頭の中は、疑問で溢れていました。けれども走る足は止まらずただただ走り続けました。
数分後、息を切らせ家に着いた魔女は兵隊が居ないか辺りを見渡しました。兵隊が居ない事を確認すると呼吸を落ち着かせそっとドアを開けました。
青年はまだベッドで眠っていました。良かった、魔女はほっと胸を撫で下ろしました。魔女は青年を起こさない様にベッドに近づきました。熱が下がったのかすやすやと眠る青年。魔女はテーブルの上に薬草の入ったカゴを置き、床に座りました。兵隊に追われているということは彼は罪人なのか?しかし悪い人には見えない。魔女が青年の顏を見ながら考えていた、その時すっと青年が目を開けたのです。青年は魔女の顏を見ると少し驚いた様に目を見開くと、少し枯れた声で「君は誰?」と言いました。魔女も突然の出来事に驚きつつ、震える声で「わ、私は森に住む魔女です。3日前、怪我を負った貴方を見付けて手当てをさせてもらいました。」と答えました。
普通の人間と話しをしたのは何年ぶりだろうか。そんな事を考えていると青年は「そうか…」と呟くと、何か思い出したように悲しそうな苛立っているような安心しているようなよくわからない顔をして天井を見上げました。
暫くすると青年は突然起き上がりました。しかし傷に響いたのか腹部を押さえうずくまりました。魔女はそれでも動こうとする青年を必死に止め、こう言いました。
「今動いたら傷口が開いてしまいます。貴方がよければ傷が癒えるまでここに居て下さい。」
そう言うと、「し、しかし…」と申し訳なさそうに言いました。そんな青年に魔女は優しい笑を浮かべ「私はかまいません。それに怪我をしている人を放っておくわけにもいきませんから」
青年は少し考えると、また申し訳なさそう「…じゃあ、すまないがお言葉に甘えるよ」と言いました。魔女はまた優しく微笑みました。
魔女と青年の生活が始まりました。
昔話3に続きます。
何か長くなってすいません( ̄▽ ̄;)でも、ここは重要なのでしっかり書きたいです。ぐだぐだですがもうすこしお付き合い願いますw