昔話1
これから少しばかり昔話を致しましょう。そう、ずっとずっと昔のお話です。
聞きたいですか?
そうですよね、ここまで話したら聞きたいですよね。
ではお話しましょう。
昔、街から少し離れた霧けぶる森の奥に1人の若い女性が居ました。
彼女はこの時代に居た唯一の「魔女」でした。
彼女の魔術はとても強力なもので、街1つは滅ぼせる程でした。
しかし彼女はとても心優しく、自分が街の人々の近くに居ては皆を怖がらせてしまう、と魔女は自分から街を離れ1人この森に住んでいました。
この森は街の人々でもあまり近寄らない場所で魔女はいつも1人でした。
ある朝、魔女はいつものように、洗濯物を干して居ました。その時、近くの林がガサガサと音を立てて揺れたのです。
魔女は何かと思い音のした林に近付きました。
そこには、
1人の若い青年が倒れて居たのです。
魔女は驚きました。この森に人が居る事にも驚きましたが、それ以前に青年の腹部から大量の赤い血が出ていたのです。よく見れば身体中傷だらけ。
魔女は青年のもとに近付き、生きている事を確認すると手当てをするために自分の家に運びました。しかし、若い女性が成人男性を運ぶのは至難のわざでした。
何とか家まで青年を運び傷口を手当てした魔女が一安心するのもつかの間に青年は高い熱を出しました。きっと傷のせなのでしょう。魔女は青年の熱が下がるまで付ききりで看病しました。
青年が目を覚ましたのはそれから3日後の事でした。
昔話2に続きます