お姫様の好きなもの
とある王国にそれはそれは美しいお姫様がいました。肌は透き通る様に白く、髪はとても綺麗な金色、そして瞳は鮮やかな赤色をしていました。お姫様は明るい方でした。まだ幼さが残るもののお姫様の笑顔は見る人を幸せはにしました。
誰もがみとれる絶世の美女。
けれど、お姫様は少し変わった方でした。
お姫様の好きなもの、それは、「血」
お姫様は血が、人に流れているあの赤色の血が大好きでした。
けしてお姫様は吸血鬼でもなく、普通の人間。
何故、お姫様が血が大好きなのかは、今の所誰も分かりません。
お姫様は血が見たくて見たくてとうとう、自分の腕や足をナイフで切りつけ始めました。
自分の腕や足から流れ出る血をうっとりと眺めるお姫様。
そんなお姫様の傷を見た王様とお妃は何度も何度も止めるように、とお姫様に言い聞かせました。
しかし、お姫様は止めませんでした。
それどころか、お姫様は自分の血ではあきたらずめしつかい達にナイフを向け始めました。
めしつかい達も手におえなくなり、王様とお妃に相談しました。
このままでは危ないと感じた王様とお妃は、お姫様を部屋に閉じ込めました。本来は牢獄に閉じ込めるところなのですが、いくらおかしいとはいえ大事な娘を暗い牢獄に入れる事が出来ませんでした。
…これが、恐ろしい悲劇の幕開けでした。