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負け組Continue? ―NEWGAME!―

 先程、息絶えたマリックスを慣れた手付きで、掴み取り、無造作に放り投げる。

 放り投げた先には山のように積まれた屍骸。地面にかつての色は無い。

 弱すぎて等級がついていない、という『同種』の言葉は嘘ではなかったらしい。無論、身体能力等もそうだが、一番駄目なのがまるで学習しないという事だ。

 単純な連携はしてくるが、複雑な連携はまるで成ってなく、素人の俺のいい練習台。

 血の臭いに惹かれ集まった餌は、対象の数でしか判断せず、強弱に対しては一切考慮していないかのよう。

 そして積まれた屍骸の血で汚れていない部分に腰を下ろせば、好機とばかりに周囲から一斉に襲い掛かるマリックスのその頭の弱さ。

 来た、見た、殺した、を繰り返すそのルーチンに終わりは無いのだから、時間なぞ等に忘れた。

 戦闘の高揚故か、それとも俺の特性故か、戦闘中は…否、殺戮中は空腹感も便意も疲れすらも感じない。

 どうでもいい事だとその思考を振り払う。そう、どうでもいいのだ。殺せるならば。奪えるならば。

 それと同時にもう良いだろうと、十分だろうと考える。

 お城の周りでグルグル回る作業はもう要らない。

 勇者は勇者らしく、魔王に取って代わる旅を始めるべきなのだ。

 向ける視線は遥か彼方の闘技場。

 噴き出す色は怒りと殺意。

 沸き出す色は自信か慢心。

 やり直そう。人生を。

 かつての弱い俺はもう居ない。

 始めよう。人生を。

 邪魔する輩は須らく――



負け組Continue? ―NEWGAME!―



 黒々とした煙が大気を覆い、燃える家屋は加速度的にその範囲を広げ、路上には新鮮な『緑色の何か』だったものと、これから仲間入りする『緑色の何か』達。その光景、まるで地の獄、釜の底。

 指揮者たる俺は剣を振るう。肉を裂き、骨を絶ち、頭蓋を踏み潰すその音色はまるで麻薬。

 助けて、と哀願する馬鹿。

 死にたくない、と泣き叫ぶ阿呆。

 泣きじゃくり、震えるばかりの生ゴミ共に虫唾が走る。

 生きるという事は殺す事だというのに。

 生きるという事は奪う事だというのに。 

 生きるという事は戦う事だというのに。

 生きるというのは孤独な事だというのに。

 この廃棄物共はそれが解らないらしい…そして、俺も解っていなかった。

 だが今は違う。俺は知ったのだ。学んだのだ。痛感したのだ。生まれ出でた時より既にスタート地点の違うこの人生ゲームは、結局の所、より先へ進んだ方が勝ちなのだ。

 向かう先に障害物が有るからと言って避けて通って行くのは凡人・愚者・負け組だ。

 道行く障害物をありとあらゆる手段で排除し、一歩でも進んだ者こそが偉人・英雄・勝ち組と呼ばれるのだ。

 だというのに、この唾棄すべき輩は、俺の良心に期待している…危機を救うヒーローを待ちわびている。

 馬鹿が…自分の味方は自分だけ。自分を救うのは自分だけ。自分以外は全て敵だというのに。

 身内も友人も知人も社会も国家も全て、敵なのだ。敵と共闘関係を結び、敵を殺す、敵を殺した後はその敵を殺す為にまた敵と共闘する、完成された最高のシステム――生命。

 逃げるなら構わない。生きている限り何時でも再戦できるのだから。

 立ち向かうなら構わない。先に死ぬか後で死ぬかの違いだ。

 気に入らない。これを否定するようでは、生物としての存在意義すら無い。

 自らの力で歩む事を止めた生物の何と無意味な事か、何と無様な事か、何と愚かな事か。

 自らが生きとし生けるモノだと思うのならば、殺し殺され、逃げ逃げられすべきなのだ。

「救えねぇ」

 バカリ、と綺麗に頭蓋を割ると、沸き出てくる経験値。これが生きるという事なのだ。

 だがしかし、美味しくない、嬉しくない、気持ちよくない、素晴らしくない。

 まだ最初は良かった。まだ、生存競争が成り立っていたのだから。

 血を吐いた、血を吐かせた、腕が折れた、手足を潰した、そして、首を刎ねた。刹那の差の殺し合いがまだ、出来ていた。

 今尚焼けるように熱い左腕の鈍痛こそが勝利の美酒、今ここで立っている事こそが勝者の証。

 いや、まだプロローグは終わっていない。この始まりの絶滅戦争はまだ始まったばかり。

 早く帰って来い、集落の長よ、無価値なゴミの最上者よ。

 俺はまだ弱い、まだ城の周りでグルグル回っている段階で仕留めてみせろ。

「…噂をすれば何とやら、か?」

 別に音を聴いた訳ではない。別に視覚に映った訳でも無い。今も尚、俺は生ゴミ処理に勤しんでいるというのに、五感の全てが確信している。

 後は到着までに残った食前酒を平らげるだけというものだ。

 生ゴミ袋が1つ、2つ、3つ…自然分解される頃にはここは農地にすべきだろう。作物を植え、生きようとしているモノが食べる事で初めて生ゴミ共が役に立つ。

「……!」

 最後のゴミ袋を処理すると同時に聞こえてくるのは怒声か悲鳴か、両方か。

 待ち望んだ相手を含めた集団、その数は5匹。2匹は傷を負っているのを見るに恐らく先程逃げ出したモノだろうか。

 涙の浮かぶ血走った目が迫り来る。

 明確な敵意と確固たる殺意が迫り来る。

 沸き出す興奮と溢れ出す高揚感、そして、少しばかりの死の恐怖が迫り来る。

 向かい来るゴミ共を馬鹿な奴と思うが、同時にまだ価値は下がっていないとも思う。命乞いをするような輩に比べれば余程、『生きている』と評価できるだろう。

 相手は十等級の最下層種族、されど多勢、そして俺も同等級相当。

 しかも左腕は折れている。体中は傷だらけ。剣の刃は潰れていると来たものだ。

 …上等だ。何時でも殺してやる、何時でも死んでやる。

 生きる覚悟と死ぬ覚悟、殺す覚悟と殺される覚悟だけは、とっくに済ませてあるんだよ――!

 突っ込んでくる敵集団の先頭に立つゴブリンに向かい、大振りの大根切り。

 別に避けてくれても構わないし、防いでくれても構わない。これは俺にとっての開戦の狼煙なのだから。

「ギャビェ…」

 相手の兜を叩き割るという事は出来なかったが、声かどうかもわからない声と共に衝撃で完全に首が胴と水平になったのまでは確認した。

 ブツリ、と脊髄が首の皮を突き破り、鮮血が撒き散らされるその光景、やはり、生命たるもの、こうでなければならぬ。グダグダと生きるよりは、桜のように散るべきだ。

 美しく、潔く、咲いた花見のその代償…それは決死の体当たり。後に続く仲間に後を託すかのように、自らの命を人生を使った俺の足止めだと判断したのは、そのすぐ後だった。

 ぶれる視界に映りだす不明瞭な何本かの線、命刈り取る、敵の武器。

 慣性の法則に従う物言わぬ屍骸と、咄嗟に目を瞑ろうとする脊髄反応と倒れ行く身体に受身を取ろうとする防衛本能に喝を入れ、前に出る。否、前に転げようとする。

 焼ききれんばかりの脳髄は冷静に状況を判断し、研ぎ澄まされた感覚が後ろに倒れる事を恐怖し、僅かばかりの戦闘経験がそれを後押しした。

「―――!」

 我武者羅に、一心不乱に敵の武器の眼前へと身体を押し出していく。

 後ろに倒れれば、確実に死ぬ。

 前に倒れれば、生きる為の可能性が残っている。

 脚には大きな負担が罹った。左手の骨が屍骸に当り内部をぐちゃぐちゃにしていく。敵の武器が肩甲骨付近の肉を削っていく。倒れた拍子に顔を擦った。歯をぶつけた。口内は土砂まみれ。更に倒れた衝撃でまた左腕がどうにかなった。

 身体欠損、生命力低下、数え切れないばかりのエラーメッセージ…まるで関係の無い事だ。

 俺はまだ、死んでいないのだから。

 倒れた衝撃に蹲る暇は無く、肉で繋がっていただけの左腕を確認する暇は無く、ありとあらゆる暇は無い。

 倒れ終わらない内に、剣戟を一つ振る。

 無理な体勢、無茶な振り方、無謀な行動に意味は有るのか無いのか解らない。

 突き出した槍を戻さない内に相手の懐に飛び掛り、手にした剣を払いのけ、横から一発ぶん殴る。

 硬いような、柔らかいような、直撃したようでしていないような感触と共に、振りぬいた拳の向かう先は相手の武器。

「――」

 無理矢理に奪い取り、丁度良い場所に居たゴブリンに槍の柄を叩きつける。

 所詮木材の柄では叩き折れるが構わない。丁度良い長さの棒になっただけで、殺せることには違いないのだから。

「――!」

 叩き付けた棒をそのまま相手の喉首へ。その後は返す刀で先程奪った相手の方へ突き返す。

 ぐちゅり、とゼリー状の感触には覚えがある…眼球だ。

 狙いもしていないというのに、禄でも無い場所に直撃するとは、勝利の女神は微笑む処か、下着を見せて誘っているようなものだろう。

「―ぐっ!?」

 左の二の腕を貫通してアバラ骨にまで届く相手の槍が俺を馬鹿な思考から抜け出させる。

「…そうだった。相手にしているのは、世界で最も尻軽ビッチだったよなぁ!」

 あっちへ振り振りこっちへ振り振り、腰を振りすぎて乾く暇も無い娼婦を手にするのはお前らでは無く、俺なのだ。

 骨と骨を支点に槍を叩き折り、それを抜こうともせずに一気に駆け寄りマウントポジションへと持ち込み、殴る。

 奪う事によって、強化されたその拳は肉抉り、骨を砕き、顔面の表半分を本体から隔離した。

 沸き出る『補給物資』を確認したと同時に、ぬらぬらと血と粘液で化粧された異物に漸く気付く。

 玩具のように腹から突き出た槍を第三者のような感覚で理解しているというのに、体は俊敏に反応し、後ろの柄を握り潰している。

 衝撃で内臓がぐるんぐるんとして、意識を失いそうになるのを堪えて、捨て置いた剣を拾って一閃。

「――!?」

 叩き付けたゴミを狂った芸術作品に仕立て上げた瞬間にざわりと全身に悪寒が走った。

 ――火。

 振り向いた刹那に目に焼きつく、火が迫ってくる。

 図らずも最後の一人となった集落の長の姿が陽炎の向こうに揺らめいていた。

 恐れる本能と包まれる熱気と溢れ出す痛覚信号を叩き伏せ、大脳新皮質が普通の火では無いと叫びだす。

 皮膚を突き破り、身体の内側へと入り込んでくるこの火はまるで虫のよう。

 引き攣る激痛と混乱する思考、何処から、如何して、如何やって。そうしている間にも次から次へと炎が俺の身体を焼いていく。

 ――不味い。この怪我は不味い。この痛みは不味い。

 視界がチカチカする。火傷はどんどん酷くなる。痛みにのた打ち回って泣き叫びたくなる。諦めてもうここで力尽きるのも悪く無い、とも思ってくる。

 それでも尚、俺は、負けたくない。痛かろうが、辛かろうが、苦しかろうが、惨めな人生、押し殺した自己、虚飾に満ちたまるで不本意な生涯を送る事を考えれば、まだこっちのほうが余程マシだ。

 虚勢で良い、やせ我慢で良い、意地を張れ。死ぬその寸前まで意地を張れ。

 所詮この世は弱肉強食。無様に死ぬよりも、憐れなほどもがいてやれ――!

「――がぁぁっ!」

 一秒でも早く接近し、――左腕を固定していた槍は肉を裂いて取り出した。

 一秒でも多く意地を張り、――腹を貫いた槍も内蔵を抉って掘り出した。

 一発でも良い、――負け組の汚名を返上せよ。

 それは正に殺し合い。ここまで純粋な死闘があるものか。

 殴る殴る殴る、最早右手は右手だった名残で。

 燃える燃える燃える、されど身体はまだ耐えている。

 右の指は骨が見え、左の腕には骨突き破り、俺もこいつもボロボロで、それでも尚、生きるために殺しあう。復讐の為に殺しあう。

 もう俺は死んでいるのかも知れない。相手はもう死んでいるのかもしれない。

 気付けばマウントポジションを取っており、気付けば相手の顔は無くなっていた。

 気付けば俺の身体はぐちゃぐちゃで、気付けば俺は、生きていた――。

 辛うじて生きている。生物学上、『今はまだ』生きている。

 数秒後に死んでいても可笑しくないと思う反面、なんだかんだ生きてそうな気もする。

 今はとにかく休みたい。最早指一本動かせそうに無い。

 屍骸の傍で大の字になるのも存外悪くは無く、澄み渡った空を見れるのが最高の勝利の証だとすら思える。

「良き余興であったぞ…奪う者よ。褒めて遣わす」

 声がする。目は開けない、開ける余裕は先程無くなった。

「…お嬢、か。見ての通りこの有様だ。少し休ませろ」

 現在、死と薄皮一枚隔てられたこの状況、お嬢に殺されるのが先か勝手にのたれ死ぬのが先かの違いだ。どうでも良い事だろう、口調なぞ。

 そしてお嬢とは別に一人気配を感じる…恐らくは案内者だろうか。長からの『何か』に似た気配を感じた俺は開けたくも無い口を開き、

「何をするつもりだ?」

「治療を行いますので動かぬよう…」

 治療? 治療だと?

「必要無い、さっさと帰れ」

 死ぬなら死ぬで構わない。死ねば其れまでだったという事だ。

 死ぬなら死ぬで構わない。俺は負けるのが一番嫌なのだ。

 結果はどうあれ、今後はどうあれ、今は勝ったのだ。それだけで十分だ。

「其れは出来ぬ。今、死なれては困るでのぅ」

「…なら尚更放っておけ、二度も三度も助けは要らん」

 俺は一人でやってやる。共闘する敵なぞ居らず、有るのは殺すべき敵だけだ。

「俺は案内者もお嬢も、須らく絶滅させてやる…俺の邪魔をするな」

「貴様…っ!」

「――控えよ」

 殺気立つ案内者をお嬢が抑えているのだろう。

 無論、この言葉に嘘も後悔も無い。今戦うか、後で戦うか、だ。

「よう言うてくれた、奪う者よ…くふふ…退屈せぬのう…」

 そう言い残し、瞬時に二人の気配が消えたのを確認し、今度こそ、眠りにつく。

 存外、人間とは丈夫なのか、それとも、『奪う』ものが回復力や耐久力も上がっているのか解らないが、直ぐ傍にあった死は今では多少は遠く感じるのも確か。

 さあ、始まったぞ。俺の人生は。今度こそ、この人生こそ俺の輝ける時代なのだから。


 結局、なんだかんだ言いつつ、城に帰ったのは二日後だった。大怪我とは言え、途中からは尻が真横に切られていたのを『グランドラインとレッドライン』なんて命名していた当り結構余裕だった感がある。

「…で、部屋主様は御主人様にそんな戯言をほざいた挙句、居候は続けるんですね。流石ですねー…もう死ね。氏ねじゃなくて死ね」

 しかも結局治療受けてるじゃん、とっとと死ね。とまで言われる始末。

「……」

 何も言い返せねぇ。

 ちょっと、お嬢にこんな事言っちゃったよ的な笑い話をしたのが不味かった。

「もう本当に人として軸がブレてますよね? DNA狂ってますよね? いや本当に、しかも何が『ラフテル*』にある『一繋ぎの大珍宝』ですか? もう、ほんと死んで欲しいっていうか…」

「……」

 おい、やめろ、そこは笑う所だろうが。おい、笑えよ、何マジレスしてるの? 死にたくなるからやめろ。

「しかも何か大怪我してますし、誰が世話すると思っているんですか? しかも下の世話まで、ですよ? 部屋主様の『一繋ぎの大珍宝(Sサイズ)』のみならず、『ラフテル*』とやらの産物までですよ? ねぇ、聴いてます?」

「…正直、ここまで恥を晒したからな、もう何も怖くない」

 その代わり死にたい。

「更にそんな状況にも拘らず、ご飯だけは人一倍食べますからねー、美味しいですかー?」

「おいちいです^p^」

 もう開き直る事にする。

 そもそもとして世界の三大美食の定義すら違うというのを声を大にして言いたい。

 三大美食とは和洋中ではない。

 『汗水垂らして食う飯』と『金を掛けた最高級の飯』そして『働かないで食う飯』…これを三大美食と言うのだ。その三大美食の一角を貪り食って何が悪い。

「黙れよ童貞」

「ああそうだよ、童貞だよ。新古品だよ。皮の鎧も装備されてるよ。右手が恋人、左手愛人、床妾だ。何の問題が?」

「うら若き乙女に卑猥な物体をぽろりさせてるあたり、駄目だと思いますー」

 じゃあ隠してくれよ…全身これ包帯とギブスで固められてて身動きできねぇんだよ。

「しかも時々、ピクって反応するあたり結構貞操の危機とか思ってますー」

「落ち着け、それは生理現象だ。うら若き乙男オトメンが何日も処理してなかった嫌でもそうなる。無論、駄犬にはこれっぽっちもそのような気持ちは抱いてないし、抱く事は無い。絶対にな」

「ちょ、もう喋りかけないでください。妊娠してしまいそうなぐらいキモイですー」

 する訳無いだろ馬鹿、死ね。

「あのー、客人殿は居てるでござろうか?」

 不意に扉をノックする音と共にそのような声が聞こえてくる。

「おい、駄犬、知り合いか?」

「え、部屋主様の事呼んでますけど?」

 いや、まるで知らんから。そもそも、お嬢・案内者・駄犬しか知り合いがいねぇよ。

「はーい、居てますよー。今開けますねー」

「おい、待て。ぽろりしてるのを何とかしてから開けてくださいお願いします」

「やーあやーあ、お初でござるよ。御主人様より、客人殿と共に行動する事になる…何故にぽろりしてるのでござろう…」

「ぽろりしていて何が悪いっ」

……

………

「成程、つまり『禿』は俺の特性を研究するために来た、学者だと」

「まあ研究というよりは観察というほうが近いでござるなぁ…。例えば客人殿が奪った時に、『何を』『どれだけ』奪えたかが拙者にはわかるのでござるよ。後、頭皮の事についてはオブラートに包んで欲しいでござるな…。

というより、マダオ殿も髪の毛チリチリで所々禿ちゃってるでござるよ? 人の事言えないでござろ?」

「一緒にするんじゃねぇ…言うなれば、俺は栄養満点の豊穣の土地だ。禿、テメーはFUKUSHIMA第一原発だ」

「禿と呼ばれる基準を引き上げれば、禿げてないって言えるのではなかろうか」

「基準引き上げようが、頭皮は隠せてない時点で無理だろ」

 まぁ早い話が、能力確認装置とでも思ってくだされ、だと。

 ふん、監視役だろうがなんだろうが、別になんでも構わないがな。

「とにかくだ、俺の邪魔をしたら殺すぞ」

「それは心配ないでござるよ。拙者、戦闘関連はサッパリでござるので、別に専用の護衛が来るのでござるよ」

「ほらっさぁ、オラの出番だべっ! 客人っ今度うちの姉をファックしていいべよ!」

 いや、誰だよ。この芋カッペ。

「おお、丁度良い所に来たでござるな。彼が拙者の護衛でござるよ」

「実はちょっと前には居てたべ。具体的には教授が部屋に入った当りで。でもかっけぇ登場したくて待機していただよ。おっと勿論、客人の話も聴いていたべさ、オラ教授守る以外には関わらないべ」

 それは話が早くて助かるというものだな。

 しっかしこいつの顔、まんま馬鈴薯ですがな。姉不憫すぎる。

「ちなみに、オラの姉は御主人様の側近ですだ…えーっと客人曰く『案内者』? だったべ? よろしくしてやってほしいべ」

 おい、全然似てねぇ。良い所全部姉持っていってるぞおい。カッペ不憫すぎる。

「都合により冷たいお茶お持ち致しましたー…あれ、一人増えてますねー…んー…部屋主様は無しでいいや。どうぞー」

 おいふざけんな。死ね。

「それはそうと客人の名前を教えてもらってもよろしいでござろうか?」

「マダオですー」

 死ね。

「マダオと申されたか…なんというか、駄目な臭いが漂ってくるというか…」

「主にぽろりしている股間から漂ってくるべ…」

「もう、本当ですよねー。世話してる時はもう南風GOwwGOwwですー」

 炉珍融解したくてしたんじゃねぇよ。

「何故ぽろりしているのか、拙者の頭脳をもってしても謎でござるな…」

 どうみても人災だよ馬鹿。

「客人、弟達から話を聴いているとは思いますが…なっ、何をしているんだっ貴様!? さっさと隠せっ!」

 周辺諸国に迷惑掛け捲りだよ馬鹿。

「もう、本当に存在が恥ずかしいですー…」

 おめーの所為だよ。

 赤い顔をした案内者が身近にあった布を俺の股間に投げつけてくる。

 漸く隠せたと安堵感を感じると同時に当たった衝撃でピクリと反応しちゃう自分がいっそ誇らしいと思います。


☆Pickup Race☆


『十等級・ゴブリン種』

マダオは絶滅させるべきと思ってる。緑色。でも光合成はしません。

今回殺しまくったのがコレ。この世界では弱い。

でもマダオもまだまだ弱いので多数だとキツイ。


☆Pickup Person☆


『禿』

実はこの国のお偉いさん。何故かござる口調。周りからは教授とか呼ばれてる。

すごい賢い。でも頭皮が見えてる。

お嬢様も頼りにするぐらい見識ある。でも頭皮が見えてる。


『芋カッペ』

馬鈴薯顔。微妙な方言。胴長短足。以上により目出度く命名された。

こうみえて四等級、戦女神種。男だけど戦女神種。男の娘ではない。

姉は案内者。


『案内者』

容姿端麗・才色兼備。良い所全部取り。悪いのは弟へ。

お嬢様ラヴィの四等級戦女神種。

弟は芋カッペ。


『お嬢』

外見年齢中学生、実年齢4桁の可愛い女の子☆ミ

三等級魔王種。

チート使ったラスボスぐらい強い。ラスボス。


☆Pickup Keyword☆


『炉珍融解』

世間を騒がせてるアレ。人災。


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