2部第2話:境界市の匂いは、跳ねる
※本作は、
「消えるはずだった子猫」が春を越えた“その後”の物語です。
第2話では、
境界市という「匂いと感情が交差する場所」に足を踏み入れます。
派手な戦闘はありませんが、
代わりに、心が静かに、そして確実に揺れる場面が増えていきます。
もし読みながら、
「少し息が詰まる」「胸が落ち着かない」
そんな感覚があったら、
それはきっと、物語が正しく動いている証です。
境界市には、匂いが多すぎた。
焼けた肉の脂。甘い果実酒。焦げた砂糖。薬草の苦み。革のなめし。鉄。汗。香油。獣毛。
それらが風の中で混ざり合い、ぶつかり合い、はじけて、また戻る。
匂いは、音より先に心を叩く。
——跳ねるな。
——跳ねるな。
私は外套の内側で、舌の裏に残る苦さを思い出していた。火鉢の炭みたいな苦さ。落ち着くための味。
でも境界市の匂いは、落ち着く味を上書きしてくる。
「……行く」
グレイが言う。短い。
人だかりから離れた路地へ、足を向ける。
倒れた子どもは、旅の治癒師の女——セラが、呼吸を整えさせるために横向きにした。周囲の大人は口を塞がれたみたいに静かになった。
静かになったせいで、逆に聞こえる。
子どもの喉の奥で鳴る、細い息。
それが一番、心を揺らす。
私は目を逸らさないようにして、逸らした。
見ると跳ねる。
でも見ないと、いなくなる。
この矛盾は、春を越えても消えない。
「治癒師」
グレイがセラに向かって言った。
呼び名だけ。名前は聞かない。
セラは私たちを一度見て、軽く顎で路地の奥を示した。
「黒い幕の店。今ならまだいる。……早いほうがいい」
声は淡々としているのに、焦りはない。焦りを見せると周りが跳ねることを知っている声。
「子どもは」
「命は繋ぐ。……原因を止めればね」
原因。
その言葉が胸に刺さる。回数みたいに、増えるもの。
グレイは頷いただけで、歩き出す。
彼が動くと人の流れが割れる。慣れた割れ方だ。
境界市は、強い者を通す。怖い者ではなく、揺らがない者を通す。
路地へ入ると、匂いが変わる。
表通りの甘さが薄くなる。代わりに湿った石、古い水、黴、灰。
火の匂いはあるのに、温かくない火。
誰かの生活の火ではなく、何かを隠すための火。
路地は狭い。両側に積まれた箱や樽が、通れる幅をさらに削っている。
上を見上げれば、建物の壁が空を細く切り取っていた。空は青いのに、ここだけ影が濃い。
——跳ねるな。
——跳ねるな。
私は外套の中で、息を小さくして世界を数えないようにする。
でも、匂いは勝手に数を増やす。
増える匂いは、心を揺らす。
「……ルナ」
グレイの声。確認。
それだけで揺れが一段落ちる。
私は外套の布を握り、返事の準備をしてから言う。
「……いる」
その瞬間、胸が小さく跳ねた。
跳ねたのに、怖くない。怖くないことが、少し怖い。
路地の奥に、黒い幕が見えた。
店、というより、布の壁だ。
木の枠に黒布を垂らし、入り口の位置だけが曖昧に開いている。
看板はない。呼び込みもない。
あるのは、布の陰から漂う、甘くて苦い匂い。
砂糖と焦げと、薬草の苦み。
そして、さっきの子どもの周りに残っていた「驚き」の匂いと似ている。
私は息を呑んだ。
息を呑むと心が跳ねる。
だから、呑んだ息を、ゆっくり吐く。
「……ここ」
私の声は小さくかすれていた。
でもグレイは止まる。完璧に止まる。
黒幕の前には、男が一人立っていた。
背は高いが、筋肉が見えるタイプではない。
布を羽織り、顔の半分を影に落としている。
目だけが見える。
その目は、商人の目ではなく、観察者の目だ。
私は第1話で一瞬だけ目が合った青年を思い出した。
違う。年齢も雰囲気も違う。
でも、同じ種類の視線。人の心を道具として測る目。
男はグレイを見て、笑わなかった。
笑えば場が跳ねると知っているように、口角だけをほんのわずか動かした。
「……魔狼の騎士が、こんな裏へ?」
声は柔らかい。
柔らかい声は、刃より怖いことがある。
柔らかい声は、疑いなく入ってくるから。
グレイは返事をしない。
返事をしないことで距離を保つ。
その距離が、私の心を守る。
男の視線が、外套の口へ滑る。
——見られる。
——見られると跳ねる。
私は外套の奥へ身を引いた。
でも遅い。匂いが先に私を引き出す。
黒幕の内側から、鈴の音がした。
ころん。
からん。
それだけで胸が揺れた。
音が小さいほど、心の音が目立つ。
心臓が「とく」と言いそうになる。
私は布を強く握った。
爪が布に引っかかる。
男は言った。
「うちの商品に、何か問題でも?」
“商品”。
その言い方が、嫌だった。
倒れた子どもが「商品」になってしまう言い方。
グレイが一歩前へ出た。
威圧ではない。ただ、逃げ道を計算する一歩。
男の背後の幕、左右の壁、路地の幅。
全部を測っている。
「鈴」
グレイの声は短い。
その短さが、相手の言葉を削る。
男は肩をすくめた。
「鈴は鈴です。子どもが欲しがる。——悪いですか?」
私は、匂いを嗅いだ。
鈴の匂いは、金属の匂いではない。
甘い。
でも甘さの奥に、焦げる前の火の匂いがある。
それはセラの治癒の匂いに似ているのに、温かくない。
冷たい火。
そして、その匂いの中に、確かに「感情」が混ざっている。
驚き。
嬉しさ。
焦り。
そして、恐怖。
恐怖が、薄く糸みたいに絡んでいる。
糸は、引っ張れば伸びる。伸びれば跳ねる。
「……これ、ひとを、跳ねさせる」
私は思わず口にしてしまった。
言った瞬間、胸が跳ねた。
言葉が出たことに驚いた。驚きも跳ねる。
男の視線が、ぴたりと止まる。
外套の口を見た。
その視線が、喜びの色を一瞬だけ含んだ。
——見つけた。
そんな匂いがした。
「ほう」
男は言った。
「猫が、喋るんですね」
喋ること自体は珍しくない。
でも私の声は小さい。弱い。
だから「喋る」が「暴く」に近い。
グレイの外套が、ほんの少しだけ閉じられる。
私を隠す動き。触れずに隠す。
それだけで、私の心は落ち着く。
「……売るな」
グレイが言った。
命令ではない。宣告に近い。
男は笑わなかった。
笑う代わりに、幕の端を指で弾いた。
「売るな、とは?」
「倒れた子どもがいる」
「それがうちの鈴だと?」
男は言葉を遊ばせる。
遊ぶ言葉は、心を揺らす。
私は揺れないように、匂いに集中する。
黒幕の内側から、もう一度鈴が鳴る。
からん。
その音に、別の匂いが反応する。
——呼ばれた。
——引かれた。
匂いが、私の胸を引く。
引かれると跳ねる。
私は外套の中で、必死に息を整えた。
そのとき、背後から足音がした。
軽い。
でも急がない足音。
「そこまで」
声がした。セラだ。
いつの間に。
彼女は、路地の影から出てきた。手には薬草袋。
倒れた子どもの側を離れたのに、焦っていない。
焦りは周りを跳ねさせると知っている足取り。
男がセラを見て、わずかに眉を動かす。
「治癒師か。——店の客なら歓迎するが」
セラは首を横に振った。
「客じゃない。止めに来た」
「何を?」
「あなたの遊び」
遊び。
その言葉が、冷たかった。
遊びという言葉は、命を軽くする。
男は笑わない。
笑いを抑える代わりに、声の温度を変える。
「遊びじゃない。——需要だ。心が跳ねる瞬間は、誰だって欲しい。退屈な日々より、たった一回の——」
「それが死ぬほど跳ねたら?」
セラが遮る。
正論じゃない。問いだ。
問いは、相手に答えを押しつけない。
でも逃げ道は塞ぐ。
男は一瞬だけ沈黙した。
その沈黙に、匂いが動く。
焦げる前の火が、強くなる。
私は気づいた。
この男は「心が跳ねる瞬間」を集めている。
集めて、売っている。
鈴はその道具。
鳴らすと、心が跳ねる。跳ねるほど、何かが起きる。
——何か。
私の胸が、また小さく跳ねた。
怖さじゃない。理解の瞬間の跳ね。
理解は、跳ねる。
でも理解は、生きるために必要だ。
グレイが、男の足元を見た。
それに合わせて、私も見る。
黒幕の下、男の影の端に、白い粉が散っている。
砂糖じゃない。
薬草でもない。
灰に似ている。
でも灰より軽い。光の粒。
匂いを嗅ぐと、胸の奥がすっと冷えた。
——泣いた。
——叫んだ。
——笑った。
感情の残り。
ここに落ちている。
私は思わず、息を止めた。
止めた息の中で、匂いが私に語る。
この店の中には、たくさんの「跳ね」がある。
人の喜び。人の恐怖。人の喪失。
それが瓶に詰められているみたいに、濃い。
「……ここ、やだ」
私は小さく言ってしまった。
言った瞬間、胸が跳ねる。
“やだ”は、感情の言葉。危険。
でもグレイは否定しない。
外套の重みが、少しだけ私を包む方向にずれる。
触れないのに、守る方向へ寄せる。
それだけで、私は息を取り戻した。
セラが男に言う。
「この鈴、止めて。今すぐ。——今日だけで三人運ばれてる」
男の眉がわずかに動く。
「三人? 増えたな」
増えた。
その言い方が、怖かった。
増えることを当然としている匂い。
グレイが、初めて言葉を増やした。
「……誰が買う」
男が答える前に、黒幕の内側で誰かが笑った。
くすくす、ではない。
喉の奥で鳴る、軽い笑い。
その笑いが、匂いを揺らす。
「だれ?」
私の声が漏れた。
漏れたことに驚いて、胸が跳ねる。
跳ねると、匂いがさらに強くなる。
男が一歩引く。
幕の中へ半身を隠すように。
隠すと同時に、誘う動き。
「入ればわかる。——魔狼の騎士も、子猫も」
危ない。
誘いは跳ねる。
拒否も跳ねる。
私はどちらも選びたくない。
グレイが選ぶ。
彼は男の言葉に乗らない。
代わりに、黒幕の下端へ視線を落とし、手を伸ばした。
「……っ」
男が反応する。早い。
やっぱり、この幕の向こうに何かがある。
グレイの指先が幕を掴む——寸前で止まる。
止まったのは、私のせいだ。
私は外套の中で、布を握ったまま、息が浅くなっている。
それが彼に伝わったのだろう。
彼は私が跳ねる前に止まる。
止まることが、彼の契約の癖。
セラが一歩前に出た。
「入らない」
彼女は断言する。
その断言は、正論の断言ではない。
経験の断言だ。
「中は“跳ね”を増幅させる。吸い込んだら抜けられない。——子猫には危険」
男が鼻で笑う。
「危険? 危険は、売れる」
その瞬間、路地の奥から、走る足音が来た。
表通りの方から。
叫び声も混ざる。
「また倒れたぞ!」
「さっきの鈴だ! あの露店の——!」
声が跳ねる。
声が増えると、心が跳ねる。
私の胸が、忙しくなる。
忙しさは跳ねに近い。
セラが唇を噛む。
噛む仕草は小さいのに、感情が濃い。
彼女は怒っている。
でも怒りを広げない。広げると周りが跳ねるから。
グレイが、低く言った。
「……今、止める」
止める。
その言葉は、私の胸を少し跳ねさせた。
止める、という言葉は希望の形をしている。
希望は跳ねる。
でも希望は、生きる。
男が笑わないまま、言った。
「止められるなら、止めてみろ。——境界市は広い。匂いは多い。心は、勝手に跳ねる」
匂い。
そう言われた瞬間、私は理解してしまった。
この男は、匂いを知っている。
匂いで人を動かしている。
心が跳ねる匂いを、わざと作っている。
私の胸が、跳ねた。
——怖さじゃない。
——怒りでもない。
「……いや」
小さく、でもはっきり言ってしまった。
私が言葉を出すと、男の目が光る。
“反応”が欲しかった匂い。
だから私は、続けた。
跳ねそうになる胸を、息で押さえながら。
「……それ、だめ。ひと、こわれる」
こわれる。
その言葉は、私の中の古い怖さに触れる。
触れたせいで、心が跳ねた。
でも、止められなかった。
男は初めて、少しだけ笑った。
ほんの少し。
その笑いが、気持ち悪いほど正確だった。
「いいね。君の“跳ね”は、綺麗だ」
綺麗。
私はその言葉で、ぞっとした。
感情を、綺麗だと呼ぶ人がいる。
それは優しさではない。
飾りとしての感情。
売り物としての感情。
セラが男を睨む。
「やめなさい」
男は肩をすくめ、黒幕の端を持ち上げる。
「なら、撤退しろ。——今日の分だけ、見逃してやる」
見逃す、という言葉は、相手を上に置く言葉だ。
私はその言葉が嫌で、胸がまた揺れた。
そのとき。
黒幕の内側から、鈴が一斉に鳴った。
からん、からん、からん。
音が重なる。
重なると、心が跳ねる。
私の胸が、ついに大きく跳ねそうになる。
視界が薄くなる。
匂いが一本の線になる。
——跳ねる。
——跳ねたら、消える?
違う。春は越えた。
消えない。
でも、跳ねるのは怖い。
怖いのは、跳ねたあとに、ひとりになること。
「……ルナ」
グレイの声が、近い。
いつもの距離のはずなのに、温度だけが近い。
彼は触れない。
でも外套の重みが、私の背に寄る。
世界の音を一枚、布で遮るみたいに。
私は、息を吸った。
苦い匂いを探す。
火の匂い。鉄の匂い。グレイの匂い。
「……いる」
返事を言った瞬間、跳ねが少し落ちた。
落ちたけれど——匂いは残る。
鈴の匂いは、私の鼻に絡みついたまま。
セラが叫ばない声で言う。
「撤退。今は」
グレイは一瞬だけ迷った。
迷いは短い。
迷いを長くすると、私が跳ねるから。
「……戻る」
そして彼は踵を返す。
路地を逆へ。
人だかりの声がまた増えている。
「また倒れた」
「息が」
「治癒師!」
声が跳ねる。
跳ねる声が、市の裏側に広がっていく。
男が背後で言った。
「また来い、子猫。——君の匂いは、ここで一番売れる」
私は振り向かなかった。
振り向けば跳ねる。
跳ねたくない。
でも、匂いだけは振り向いてしまった。
匂いは残る。
匂いは追ってくる。
そして、もう一つ気づいた。
黒幕の店の前の白い粉。
あれは感情の残りだけじゃない。
誰かの“欠片”だ。
削られたもの。奪われたもの。
私は外套の中で、小さく震えた。
震えは跳ねる入口。
だから私は、震えを止めようとして、止めなかった。
止めない。
止めないで、生きる。
セラが横を歩く。
彼女は私を見ない。
見ないことで私を楽にする。
でも声だけは落とす。
「猫」
呼び方が短い。
名前ではない。
でも私は、その呼び方に心が少し揺れた。
「……なに」
「あなた、感じるんだね。残るものを」
私は答えられなかった。
答えると跳ねる。
でも黙ると、ひとりになる気がした。
だから私は、息を整えて、小さく言う。
「……におい」
セラは一度だけ頷いた。
「そう。匂い。——あなたのそれは、武器にもなるし、毒にもなる」
武器。毒。
どちらも怖い。
怖いけれど——生きている感じがする言葉だ。
表通りへ戻ると、騒ぎはさらに大きくなっていた。
倒れた人が増えている。大人もいる。
誰かが鈴を鳴らしてしまったのだろう。
あるいは——鳴らさせられた。
グレイの歩幅が、ほんの少しだけ速くなる。
私が揺れないギリギリの速さ。
その調整が、胸に刺さるほど上手い。
「……ルナ」
確認。
私は返事をする。
「……いる」
そのたびに、私は思う。
この返事は、契約の名残じゃない。
生きている証明だ。
広場の端、セラが最初に処置していた子どもの場所へ戻る。
子どもは目を閉じている。呼吸は少し楽になっている。
セラの薬草が効いている匂い。
あの冷たい火じゃない、温かい火の匂い。
セラが子どもの額に手を当て、短く言った。
「……まだ、戻る」
戻る。
その言葉が、私の胸を揺らした。
戻るという言葉は、消えるの反対にある。
グレイが言う。
「……店を潰す」
セラが首を横に振る。
「潰すだけじゃ終わらない。あれは“仕組み”だ。鈴は入口。——売ってるのは鈴じゃない」
「……何だ」
セラは一瞬だけ、言葉を選ぶ。
選ぶ時間が短い。
長くすると周りが跳ねるから。
「……人の“跳ね”」
その瞬間、私の鼻に、さっきの男の匂いが蘇った。
綺麗だと言った声。
売れると言った目。
私は言った。
「……また、ふえる」
セラがこちらを見る。
初めて、私をちゃんと見る。
でも目は優しすぎない。
優しすぎると、私は跳ねる。
「止めよう。増える前に」
グレイが頷く。
そして、私に向けて短く言った。
「……帰る場所、決める」
帰る場所。
その言葉で、胸が少し跳ねた。
市の裏側へ行くのか。詰所へ戻るのか。
——私は、選ばされる。
選ぶのは、跳ねる。
でも私は、逃げたくなかった。
逃げるのもまた、跳ねるから。
私は、外套の中で、そっと前を見た。
境界市は広い。匂いは多い。心は勝手に揺れる。
男はそう言った。
——違う。
心は勝手に揺れる。
でも、揺れたあとにどうするかは、選べる。
私は息を吸って、吐いて、言った。
「……いく。うらがわ」
言った瞬間、胸が跳ねた。
でも——怖くなかった。
グレイが頷く。
セラが、ほんの少しだけ目を細める。
笑わない。笑うと誰かが跳ねるから。
その代わり、彼女は言った。
「じゃあ、まずは“鈴を鳴らした子”を探そう。——あれには必ず、最初の引き金がいる」
引き金。
その言葉が、冒険の匂いを濃くする。
追跡。裏側。仕組み。
世界が動く。
私は外套の中で、布を握り直した。
握る手が震える。震えは跳ねる。
でも私は、その震えを「だめ」とは言わない。
跳ねても、生きる。
私の心は、境界市の匂いの中で、確かに跳ねていた。
(次話へ:第3話「感情の残る場所」)
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
第2話では、
「心が跳ねること」が
誰かに利用される瞬間を描きました。
鈴はただの道具で、
本当に売られているのは
人の喜び、恐怖、驚き――
つまり「感情」です。
ルナの能力は、
世界を救う力にも、
彼女自身を壊す毒にもなり得ます。
そしてグレイは、
守るために止まり、
止まることで選択を先延ばしにしています。
セラが言った
「武器にも、毒にもなる」
その言葉が、これから何度も形を変えて現れます。
もしよければ感想で、
・鈴の存在がどう感じられたか
・黒幕の男にどんな違和感を覚えたか
・ルナの「跳ね」をどう受け取ったか
どれか一つだけでも教えてください。
次話では、
感情が“残った場所”を辿り、
この仕組みの最初の引き金に近づいていきます。




