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去るものを追い、来るものを拒まずがもたらした結果とは。

作者: 夏夢

「去るもの追わず、来るもの拒まず。」

 そんな言葉がこの世には存在する。


 調べてみると、戦国時代の中国の儒教思想家である孟子が説いた言葉のようで、その教えは古い。


 流れに身を任せる、日本で言えば、方丈記の「ゆく川の流れは絶えずして〜」的な、諸行無常の考えにも通ずるものがあり、要は変わっていくものへの執着をしない、それによる心の寛容さを持とうねと言った、そんな意味合い。


 私はこれまで長年、この教えに基づく行動を取ることがとにかく苦手だった。


 変化は好きだ。

 様々なことにチャレンジしてきたし、環境を変えることも得意としてきた。


 ただし、人間関係においてはこれを適用できかねており、古くからの時間をかけて築いた人間関係は何より大切にしたかったし、付き合いの長さでどこか人との関係値を測っているような考えさえ持っていた。



 仮に、付き合いの長い友人と関係が途絶えそうものなら、なんで離れてしまうんだろうと対話を重ねたがったし、離れないために自分が変わる努力さえ惜しまない考えだった。


 そう、「去る者を追いかけていた」のだ。


 ただし、来る者も大いに大歓迎だった私は、新たに出会う人との関係も大切にしていた。

 その結果起こること、それは結局誰のことも大事にしていないのではないかということ。


 実際に人から指摘されることもあり、考えさせられることが過去多々あった。



 そんな私にとって、2024年は転機の年。



 去る者を追うことをやめ、目の前の人間関係に集中してみた。


 その結果、知り合って10年以上も経つけれど、機会が無く、仲良くしてこなかった知人や、ここ数年疎遠になっていた友人とちょっとしたことがきっかけで再会を果たすことの多い1年だった。


 仲良くしてきた期間が長いからと言って、一生仲良くしなければいけない、そんな縛りは存在しないし、それぞれが共感していた価値観が変化、進化してくれば、違う道を選ぶことも当然なわけで。



 そんな当たり前のことを私は受け入れようとせず、拒否し続けてきたんだなと改めて反省するそんな年になったような気がする。


 出会いは一期一会。

 去る者は追わなくていいし、それはネガティブな意味ではなく、執着しなくてもその分良い出会いが舞い込んでくるという意味だと捉えてみる。


 やっと人間同士の出会いと別れについて納得のいく、考えが持てた気がする、そんな年末でした。

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