冒険98─貧乏くじを引いてた人。だぁれだぁれ?
昨夜はお楽しみでしたね──とは、ならなかったと明記しておきたい。
結局は耳長のゴリ押しもあっては決行されたのだが、俺は無心を貫いた。
寝る際の位置に関しても、遂に3人に増えた事で一悶着あったが、俺は無心を貫いた事も伝えておきたい。
そして、まぁ、当然だが朝が来た。
待ち望んでいた朝というやつだ。俺達は宿のサービスの朝食を食べてから、仲良く外に出ていた。
「さて、今日は食べながら話していた通り、自由行動にしようと思う」
「良いわね! さ! 王女ちゃん! 聖堂とか教会を見つつ、食べましょ! ね?」
「ご飯ですよね? そうなんですよね? 天使様? ちゃんと、聖堂とか教会とか聖都の構成とか見てくれますよね?」
「え、えぇ、当たり前よ!」
コッチはうん、大丈夫だろう。
「私も精霊の力の雰囲気? 他のエルフも居ないかとか違いとか個人的に見たいから今日は1人で動いてみるわ」
「迷子になるなよ?」
「ちょっと、ちょっと! 大丈夫よ! こう見えても、それなりに生きてるんだからね!」
耳長は耳長で散策と。
「儂は建築様式とか、見たいのぉ。後は酒も気になるな。なかなか、良いのがあると伝え聞いた覚えがある」
「拙僧も武器屋を探してみたく。後はここらの武術、槍術などを教えてる場所があれば見てみたく」
「はいはい、気をつけろよ?」
コイツらもコイツらで目的があるしな。
そうなると俺も久しぶりにというか、駄天使と出会ってから本格的に1人になるのは初めてじゃないか? 俺も自由気ままに聖都の探検に繰り出すのだった。
「へぇ、表通りはなかなか綺麗に。そうなると、やっぱり裏通りも気になるよな?」
表通りも白を基調に花壇などもあれば、清廉さと煌びやかさも兼ね備えた作りになっている。歩いている人も身綺麗な印象だ。俺は一通り見つつも、少し外れては裏通りへと向けて足を進めてみる。まぁ、理由はない、気分だ。別に綺麗だけじゃないはずだから、汚い部分も見てみたいと思った訳では無いが──ふむ。裏側は井戸だったり、民の生活の場をこしらえてる雰囲気だ。アレは孤児院か? シスターも居るな。 なるほど、なるほど。もう少し聖都の外側へ外側へ行けば、より深く、この都を知れそうな気がすると思い俺はフラフラと歩き始めていたのが行けなかったのだろう。
タタタタタ──と、小走りな音と「あっ」という小さな声、同時に当たっては「痛っ」と聞こえては、当たって来た人物を見やると、くたびれた少し汚れたローブを羽織っては尻もちをついている少女? が居た。
「おい、こっちに走って行ったのを見たぞ!」
「早く、連れ戻すんだ! 司祭様に何を言われるか!」
「身体は傷付けるな! だが、逃げられないように魔法の許可は出ている!」と、どうやら剣呑な雰囲気の声が少女? が駆けてきた方から聞こえる。
「あっ、もう見つかった?! どうしよう、どうしよう」と、目の前の──うん、声からして少女だ。年端も多少は下か? いや、王女ちゃん位か。とりあえず、彼女からそんな言葉が漏れ出ている。
なんだか、俺は一人でも、そういう事に巻き込まれると言うことは、貧乏くじを引き寄せるのは俺の体質なのかとか、俺の加護って働いてるのか? とか、一瞬の間に思考が駆け巡ったが、今は目の前の事かと割り切るためにも、長いため息を1つ吐いては俺は少女に「何か困りごとですか? 助けが必要ですか?」と問い掛ける。
「助けも何も! アナタがソコに居たから行けないんでしょ!! アタシはアナタが居なかったから、逃げられんだから、ね! そうでしょ?! 助けなさいよ!」
うん、コレはとんだじゃじゃ馬娘を引き当てたようだ。
とりあえず、俺はそんな急に元気に声をまくし立てて来た少女を「失礼」と1言断っては抱き抱えては一目散に、こちらへと向かってくる輩とは逆方向へ駆けるのだった。




