冒険87─駆け下りろ!
「なんじゃ、アレは? 魔物なのか?」
「拙僧もあんな歪な魔物見たことはないぞ」
ギ、ギギギ──と、身体を動かしているのは魔物だった何かだろうか? いや、元から魔物なのか? 無機物? 魔物なのに生命を感じない。そうだ、あの感じは「リビングドールか」と、呟けば「キミ、アレの正体が分かるの?」と耳長が問い返して来たので、アタリを付けただけだと言っておくに留めた。
「面妖な動きを! 強さもなかなか!」
物騒僧侶の振るう槍を真っ向に打ち据えながらも、リビングドール達は俺達を見つけた奴から襲って来ていた。
「いや、元はそんなに強くは無かったのだろう! この魔力下において以上に成長したに過ぎんぞ!」
そこを横から汚れドワーフが力に物言わせてはハンマーを叩きつけてはリビングドールを壊していく。
「やっぱりおかしいわ! ダンジョンに魔物が吸収されないわ!」
「天使様? 変換装置というのが働いていないということですか?」
「ええ、その可能性が濃厚になったわね!」
「これ以上、魔物を近寄らせては元も子もない! このまま突き進むぞ!」
「頑張って! 殿は私に任せて!」
そう、言いながら耳長は弓を引いては討ち漏れた魔物に矢を射止めていた。
流石の命中率だ。「どんなものよ!」と誇らしげにしている耳長を目に押さえては、俺達は更に階層を跨いでは階下へと駆けていくのだった。
リビングドール──リビングドール──リビングドール!!
最初は素手だったのだが、段々と物騒な武器を、鎧を、団体戦を挑んで来ては俺達はそれらを踏破しつつも階層を突き進んでいく。
「主よ、魔物はこの影響下で知恵というのが低下してるとかはないのか?!」
「何を言ってるんだ! 腐っても鯛! いや、腐っても魔物だ! その本能や欲望はどこまで言っても残っているものだ」
「お主? 腐っても隊とはなんじゃ?!」
「隊じゃなく、鯛だ! 汚れドワーフ! そんな事より、しっかりとハンマーで攻撃しろ! お前の突破力も大切なんだ!」
「では、道中の露払いは拙僧の槍さばきを!」
「おうよ! 一気に瓦解させるのは任せろ!」
「キミって、鼓舞するの上手いよね! そういう所も──素敵よ!」
そう、言いながら弓を引いては耳長も遂に現れ始めた遠距離攻撃を仕掛けてくるリビングドールを射ち抜く。
「天使様! ありがとう御座います!」
「フォローは任せて! 王女ちゃん、奴らを近寄らせちゃダメよ!」
「はいっ!」
こっちも大丈夫そうだな。
感覚的に残りの階層は少ない気がする。
跨ぐ程に魔物は強くなるのが定説だ。定説通りだと、ここまで濃縮して来ているのだ。終わりは近い。
「後少しのはずだ! お前ら! 気を抜くなよ!!」
俺は一喝を入れては汚れドワーフの叩き崩した、リビングドールの包囲網を突き抜けては斬り込んで、活路を見出して行くのだった。




