冒険86─壊れたダンジョン
先陣というか、温存目的も有っては道中までは冒険者、エルフの近衛の方にダンジョン付近まで先導して貰った。彼らも拠点の確保の為にも必要な行為だった為に、有り難く便乗した形だ。
「さて、結界の中に入るぞ。違和感を感じたら教えてくれ」
そう皆に切り出しては、探索していた時以来に結界の中に入り込む。皆も入ってくるが不快感は感じるものの目立ったデメリットは無さそうだった。
「精霊が震えてる? キミにはどう映ってるの?」
「俺か? 俺には光の球達が弱々しく発光してる感じだな。今は俺に向かって、何とか集まって来ようとしてる感じだ」
耳長の言葉に精霊に意識を割けば、弱った身体を休める為に止まり木へと向かうように精霊がフラフラと俺の方へと飛来してきているのが目に捉えられていた。
「とりあえず、ダンジョンはこの奥だ。入り口が変容しているから直ぐに分かるはずだ」
俺が先陣を切っては進み、耳長は殿として後続をサポートしながらも進む。歩いては見える景色の木々は歪んでは生えており、だが、その歪みも見ようとしては法則性が有り、捻りが酷い方へと向かうと、大きく捻れては巨木のウロに出来た、禍々しいダンジョンがその口を覗かせているのだった。そこを中心に空間が歪むように重くなっており、その魔力歪みの影響で木々も精霊も狂わされては歪んでいたのだと、改めて直視する事で、俺は気付かされたのだった。
「なんて、重い空気。いや、魔力なのか? 拙僧の鱗が震えていますぞ」
「なんなら、儂は髭が震えておるわい」
おいおい、お前達は何を競い合っているんだ?
「神聖なる加護を皆に分け与えよ──ブレッシング!」
ポンコツ駄天使が天使っぽい役割を果たせるのは十八番だろう。魔法を唱えては、皆に薄い神聖な膜みたいなものに包まれては幾分か楽になったみたいだ。
「天使様、ありがとう御座います」
「ふふん! 当たり前よ!」
そんな駄天使は存外、誇らしそうに無い胸をこれでもかと反らしている。
「キミ──そんな目で見てると精霊のオイタが有るんだよ?」
それに気付いた耳長から、何とも言えない目で見られたのは、まぁ、仕方ない。素直に受け入れよう。とりあえず、俺は視線をウロに見据えては、その様相を確認するのだった。
「まぁ、単純にダンジョン内の魔力がオーバーフローを起こしては外に漏れてる影響で周りも捻れては歪になったと考えるのが妥当か」
「そうね。でも、それはおかしいわ。ダンジョンには魔力を変換しては魔物にするか、階層を増やすか。色々と変換する機能が備わっているはずだもの」
「それさえ出来ない位になっているか、はたまた、その機能が壊れている可能性があるかか」
「うーん、私でも何とも言えないわ! とりあえず、行ってみましょ!」
「そうだな」
駄天使の言う通りだ。見ない訳には分からないだろう。
俺達は先頭を俺で進み始めてはダンジョン内へと進入するのだった。




