冒険84─諸悪の根源は果たして誰だ?
結果から言おう。
真っ黒だった。黒も黒だ。そして、分かったこともあった。良くも悪くも見つけられなかった理由にもなる。
「なんと、精霊王が結界を掛けてはダンジョンを抑えているというのか」
「えぇ、あの方と一緒に私はソレをこの目で確認してきました。大森林内のこの国の外れの場所です。結界には強い精霊の力も確認しましたが、結界内は酷い状況です。木々は捻れては変容しております、魔力や精霊の力も淀んでいるように感じました」
「しかし、良く見つけられた」
「あの者と結界の力が似通っていたのか、作用しあった結果だと思います」
「そうか……そうなると行動に移さねばならぬな」
「民の反応は大丈夫でしょうか…」
「覚悟の上だ。我の命でエルフ国の開放を宣言する。受け入れの開放先はドワーフの国ドルネルと、そこに与する冒険者ギルドになる。そして、我とドルネルの間の友誼を結ぶのは、あの者に。エルフの救世主とする。それを持って、エルフ国は新たな形態をここに宣言しよう。良いな? 頼っても良いんだよな?」
「もう、任せるさ。だから、そんな泣きそうな顔をするな」
「う、うむ」
女王は相当に孤独らしかったというか、孤独だろうさ。
ハイエルフは聞けば、彼女1人しか残っていないらしい。と、言うよりもエルフから進化する存在が出ないというのは先の話で知っていた。そして、エルフとハイエルフの間にも大きな壁がある。自然と彼女が女王に据えられては何とか治世を治めていたという事だった。そこに、精霊王の気を纏う俺が来たら、親愛の心も湧いてしまっては、気持ちに崩壊が起きたというのが、先程の一件だったらしい。
全く、どこもかしこも、人に頼り過ぎだし、甘え方が下手過ぎる。
そして、俺もそうなのかも知れないと。仲間だと認識している者からは、どうしょうもないほどに誇らしげであり、優しい目を俺に向けられては思うかも知れないのだった。
とりあえずは、エルフの国はこれから激動の日々が起こるであろう事は確証が持てたのだった。
「王城でまさか寝泊まりする日が来るなんてな」
「アナタ、それなら、あっちで寝泊まり出来るの?」
そう駄天使に言われては窓辺から外を見やると、未だに揺れ動いている民が見える。
けれども、女王への信頼も厚いのか、そう大きなものではないようなのが安心か?
「あれは外の者との邂逅が不安になっているだけだと思います」
そう、隣から現れた王女ちゃんの言葉を受けて、改めて見直すと、そう見えるのだから不思議だ。
いや、今はそうじゃないな。この部屋に駄天使と王女か居ない。
本当に天使だと知っているのは王女ちゃん位だ。
なら、ここでしか出来ない話もある。
「なぁ、ポンコツ駄天使」
「なによ」
「お前は前にダンジョンは世界の自浄作用の装置みたいなものと言ったよな?」
「えぇ、言ったわね」
「率直な意見を述べて良いなら、その装置ってメンテナンスとか必要なのか? ぶっちゃっけ壊れてないよな?」
「……」
おい、おいおい、急な沈黙って怖いんですが?
お前、マジか? マジなのか?
「あの、自浄とは綺麗にするとかの意味ですよね。クリーンと同じ意味ですよね。装置というのはシステムというやつでしょうか? えっと、それが壊れているとは? 自浄とか装置というのは神の御業なのではないのでしょうか? それが壊れるという可能性はあるのでしょうか?」
王女ちゃん、流石優秀。でも、信仰心の厚さが善さもあり、悪さもある。君の言っている神様は絶賛バカンス中で、駄天使からの話の中だと、他の神様は複数人の手足となる天使を雇っているみたいだけれども、バカンスのクソ神はこのポンコツ駄天使しか雇っていなかったみたいだぞ?
ソレにポンコツ駄天使自体、そもそも地理すらまともに理解してなかったのだ。だとしたら──「メンテナンスは必要、です。……この世界が出来てから一度もしていませんが。壊れている可能性は、実はここまでの旅で色々と経験して薄っすらとは、その、あ! あ! 怒らないで?! わ! 私だって頑張ってるんだから!」コイツッ! コイツッ! コイツッ!
駄目だ、見事に最悪のピースが嵌りつつありそうだ。
あのクソ野郎の神様。何が俺は世界のバランスの為の1滴だ。1滴どころじゃないぞ?! 全ての故障を治すための派遣されたメカニックみたいな、ヘルパーじゃないか。
物凄くゲンナリした表情になっていたのだろう。
申し訳なさそうに駄天使がその無い胸を寄せては擦り寄って来てはもう、片方は王女ちゃんが擦り寄って来て──俺は2人にドナドナされつつ、本日はどうにでもなれと思いつつ、健全な睡眠を貪ることに決めたのだった。




