冒険74─一件落着?
「──」
静寂が会場を包んでいた。
そう表現するのが適切だろう。ポタポタと切り刻まれた魔物や騎士団、暗殺者の滴り落ちる血の音が妙に良く耳に聴こえる気がする。
「これで終わりか?」
「お、終わりのものか! なんなんだ、コレは! おい、コレを見ろ!」
「父上! 母上!」
会場の設けられた特別な席、小物の居座るそこには刃を突き付けられた王様と王妃が立たされては人質にされていた。
「そこから動いてみろ! 俺は直ぐにコイツらを殺すぞ!」
「おい、もう諦めろ。お前のクーデターとやらは失敗に終わったんだよ」
「何を! 部外者風情が! ドワーフでも無いものが何を俺に進言する! 不敬だぞ!」
「諦めろ! 騎士団長! 騎士団はここに居るので壊滅的だろう! 俺にも分かる、お前の負けだ。大人しく投降するならば苦しまずに処断する!」
「何を! 政治も知らぬ、鍛冶だけの王子が! 誰に物を言っている! ハハハ! 良いことを思い付いたぞ! 自害しろ! そうしたら、王と王妃の命は救ってやろう! おい、王と王妃の轡を外してやれ! 最期の会話をさせてやろうじゃないか!」
「儂らの事は気にするな! 国を! 国を頼んだぞ!」
「アナタは鍛冶ばかりを見られていますが、俯瞰して物事を見られる目を持っているのは私は知っています。どうか、この国を──」
「あぁぁ! うるさいぞ! クソッ! なら、お前らから俺が自ら──「今だ! 駄天使!」なっ?!」
「彼らを守って──バリア!」
光の幕が王と王妃を包んでは一気に拡張しては彼らを捕縛していた騎士、そして何よりも小物を弾き飛ばしては会場まで奴が落ちてくる。
「よぉ? やっと、こっちまで来てくれたな」
「な、何を……」
「駄天使! このまま結界は維持だ。横槍が入ると面倒だ」
「分かったわ!」
「騎士団長、一対一だ。それが儂のせめてもの情けだ」
「な、んだ、と!! お前ごときがだと!」
「黙れ!! 貴様のしでかした事は後世に語り継がれる程の大馬鹿者だ! それを儂の手で終わらせてやると言っているのだ!」
「っ! クソッ! 死ねい!!」
「正々堂々とも来れぬのか、甘いわ!」
ガインッと騎士団長の振り下ろされた剣を汚れドワーフはハンマーを振り払ってはそのまま頭上に掲げたハンマーを騎士団長へと振り下ろす。
「ま、待て、ま──」
それが騎士団長の最期の言葉だった。
ベチャッ──と、騎士団長だった者がハンマーで踏み締められると、会場に参列していた反逆者が慌てふためいては会場から逃げようと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「ギルドマスターとして命じる! 冒険者は会場に居た者を逃がすな!! 捕縛しろ! 後悔している者は立ち上がるんだ! 急げ!!」
そんな所にギルドマスターの声が風魔法にて拡張されて鳴り響く「おぉ!」と言う声も合わせて聞こえて来たので、大丈夫だろう。
「父上! 母上!!」
そして、終わりを迎えた今は汚れドワーフはハンマーを投げ捨てては一目散に王と王妃へと駆け付け──ようとして、駄天使のバリアに弾き返されては地面に顔からダイブしては気絶するのだった。
締まらない終わりに俺は苦笑いとため息が出るのだった。




