冒険68─あの竜の剣って名前なんて言うんだろうね?
結局慣れって怖いって話。
えっ? 何の話だって? 夜にドナドナされる事とか、物騒僧侶が増えた生活リズムにも慣れたというやつだ。
正直に言うと観光は凄く楽しかった。色々と探ってはいた時とは違って、色んな事が多角的に見えるし、心の余裕も出来たのと、純粋に観るものが多かったからだ。
後はつぶさに見ていくと転生者だろう人達の名残りも見受けられるのが良かった。
武器屋では刀も売られていたので、折角だからと買わせてもらった。
何、中学生とか小学生が旅行先の露店とかでドラゴン剣を買っちゃうようなアレでは無いのだからな。決して。
「船の準備が整ったようだぞ、出航は明日の朝だ」
「やっとか」
「もうちっとは残念そうにしてくれや。俺の方は寂しいぞ」
「永遠の別れと言う訳でもないだろうに。ま、でも、この寂しさも次の会えた時のスパイスとでも考えてくれ」
「お前さん、ロマンチックな事も言えるんだな」
「うるせぇ」
とりあえず、その日はポンコツ駄天使の希望も有っては美味しいものをたらふく食べた。
そして、たっぷりと睡眠を取っては翌日。俺達は長くお世話になった宿屋の女将にも別れの挨拶を済ませては出航する船に乗り込んでいた。
「また、来てくださいね。龍神信仰一団はアナタの事を常に歓迎致します」
「今度はゆっくり月でも見ながら酒を呑もうや」
今回は慎ましい送迎のメンバーというのには、ギルドマスターと宗主さんの為、そんな事は言えないのだろうが、彼らの送迎を持って、俺達はエド国を旅立つのだった。目指すはドワーフの国と言っても良いドルネルだ。
「あっちの方に魚が居そうだわ! 私の予感がそう言ってるの!」
「分かりました! 天使様、釣りの準備ですね?!」
「ふんっ。この態勢でのバランスを取るのは体幹を鍛えるのに最適だ」
もう、やだ。このパーティー、甲板に出ては駄天使と王女ちゃんは仲良く釣りに、物騒僧侶は上半身を脱ぎ捨ては、その身体を見せ付けながら、筋力トレーニングをしている。
俺? 俺は色々と龍神信仰の宗主さんから転生者っぽい方の蔵書も保管されていたから、読んでみたいと伝えたら、個人的な物だから、折角だからと渡して貰えたものを読みふけってる次第だ。
なかなか、面白いものだ。俺以外の転生者はやはり居るようだが、功績? と言えば良いのか? 確かに文化を押し進めているからバランスの1滴になっているのだろうか? いや、そもそもバランスの為の1滴の為に全ての転生者が居るとも限らないか。
そこら辺は神のみぞ知るだろうが、その神はバカンスだったのかと、目の前のポンコツ駄天使を見つつため息を吐きつつも俺は本へとまた視線を落としていくのだった。




