冒険64─人は長くは生きられない。そして、踏み外すと簡単に転がり落ちる。
「ハハハ! 力! 永遠! 全て! あぁ! 感じるぞ! コレが全能感! 私が神だ! 最初からこうしていれば良かったのだ。私の国を壊しては作るぞ! そうだ、コレが天地創造だ!」
「な、何を言っているのだ! 龍神様を貴様は、貴様はー!!」
「おう、なんだ貴様は! あの傀儡の腰巾着か! フハハハ! 不敬であるぞ! 神に向かって頭が高いぞ! 死ねい!」
「なっ! 「物騒僧侶お前は下がっていろ!」」
物騒僧侶の肩を無理やり掴んでは後ろへと放る。乱暴なのは仕方ない、許せ。
「おい、ポンコツ駄天使! 結界を他の奴らとお前に張るんだ! 急げ!」
「わ、分かったわ! 私の結界は世界で一番なんだから!」
「天使様、力添えします!」
背後で物騒僧侶含めて、結界を張り直す駄天使を傍目に確認しては、改めて龍神を確認する。
「ちっ、邪魔をしおってからに」
「むざむざ、俺の前で人が死ぬのは見たくないのでね」
「はっ! その傲慢が神の怒りを買うのだ! 死ねい!」
「その爪の攻撃は先程──見た!」
「なぬっ?!」
爪での斬りかかりは先程、物騒僧侶を放おった際に見切れている。
龍神の爪の攻撃をそのまま弾き返しては逆に奴を俺は見やる。
「おのれ、おのれ、おのれぇぇぇ!!」
「爪もブレスも変わらんぞ」
「な、なら、龍神の封印を解き放ち、更に力を吸い上げるのみだ! フハ、フハハハ!!」
「ぐぅぅぉぉ…」
「物騒僧侶(様!?」
駄天使と王女ちゃんの悲鳴じみた声に振り向いたら、悶え苦しむ物騒僧侶が居た。
そして、それと伴うように物騒僧侶の鱗が鈍く光っては物騒僧侶の魔力を吸い上げているようだ。
「はぁ、あはぁ! 凄い! 凄いぞ! あぁ、最高だ! 最高にハイだ!」
「っ、この国の人を皆殺しにするつもりか?!」
「何、人? 人だって? 神からしたら家畜同然! 産めば増える、ただの魔力という栄養源に過ぎぬ! フハハハ! あぁ、家畜の悲鳴が心地いい」
「お前は狂っていやがる」
「なんとでも言うがいい! そもそもだ! この龍神が傲慢なのだ! なんだ? 加護? 誰が望んだ! 写し身? ただの家畜の証明だ! 私は! 神を屠るでもなく、その力さえ支配下に置いて、私は神以上に今! 相成ったのだ! 龍神信仰? バカの集まりだ! 恨みこそすれ、感謝など無い! そんな負け犬の畜生は滅んで同然なのだ! 私が! 強い国を! 人を! 民を! 作り上げる! 私が世界であり! 私が神なのだ!」
「あぁ、素晴らしい御高説どうも。吐き気がするぜ」
俺は俺で神から世界のバランスの1滴とは言われたが、コイツは世界そのものだって? 本当の神でさえ、そんな感じでは──いや、アレはただのバカンスクソ野郎だ。
世界の管理をどうしてるだ。世界の自浄作用とやらもバグってるんじゃないか? 管理はどこのドイツが……いや、後ろのポンコツ駄天使だったか。
あぁ、クソ。俺は正直、人の生き死になんて関わりたくないし、見たくもないし、自分の周りがそれなりに幸せだったら、それだけで満足な男なんだ。それがなんだ? 目の前のこの野郎はこのエド国の人間を栄養源で殺すと? おい、止めてくれよ。変な正義感が出るじゃないか。そして、気付きたくも無いが気付いちまった。この龍神様とやら、意識があるな。コイツの目を見てしまったら、何かしらのスキルか加護が働いたのか、コイツの思考が流れてきやがった。我ともにコイツを屠れだ? クソ、死にたがりも居やがったか、勘弁してくれ。
「あぁ、もう面倒だ。全て、この一刀で終わらせてやる」
俺は全力で加護やらスキルやら働いてるだろう聖浄なる力を剣に纏わせては龍神へと一閃させては力を解き放つ。
目の前は一気に聖浄なる光の柱が立ち昇っては満たされていく。
「あぁ……私の道が見える──」クソッ、スッキリした顔をしてやがる。
元はどうだったか分からん。ただの反骨精神からの行動だったのかも知れない。ただ、コイツは生き過ぎたのだと思う。人はそこまで長く生きれるのに耐えられるとは俺は思えないのだ。その過程で何かを踏み外したのかも知れない。コイツ自身は龍神と同化する際にその体は既に朽ちている。今はその魂を強制的に剥がしては天へと召したのだ。
「わ、我は──」
そして、聖浄の力はその存在を癒しては、邪なるモノを打ち払い浄化させる力もある。
龍神の心と身体を癒し、その身を打ち据えていた杭と鎖は粒子となり散っては世界に還元され、その下の巨大な魔法陣はピシリと音を立ててはサラサラと同じく世界へと還元されていくのだった。




