冒険60─現実的なプラン。
もうヤダ、真っ黒っぽい。
逆にあの宗主はこの事を知ってるのだろうか? いや、知っていたら俺達を通すか?
「いや、そんなはずは。なら拙僧はどうしたら、いや、間違いの可能性も」
「おい、落ち着け物騒僧侶。確かに資料を照らし合わせてみると300年前辺りから少し魔物の増加と鱗の比率の多さが噛み合っているが、まだ何も分かった訳では無い」
「だ、だが! コレを見てる通りだと何者かが守護龍様に害を成しているのではないのか?! だから、守護龍様は維持の為にも写し身を拙僧らへと更に負担を強いているのでは無いのか?! は、早く知らせねば!」
「だから、落ち着けと言っている!!」
「──!!」
俺が声を張り上げた事で物騒僧侶はやっと口を閉じては萎縮したようにやっと静かになった。
「だから、本当に良く考えろ。今のお前の言葉だけでも相当の闇があるのに気付かないのか?」
「な、何を言って…」
「流石の私でも分かるわよ!」
「流石、天使様です! 物騒僧侶さん、旦那様はこう言いたいのです。守護龍に害を与えられる存在が居るとしたら、一番身近に居る存在が怪しい。それは龍信仰の信奉者が怪しいと、更に物騒僧侶さんが言っていた会えるのは上層部の方ですよね? そういう事です。それに写し身を増やしては維持をしているならば、今頃結界は機能しています。それが無いと言うことはその魔力は別のものに転化されて使われているのと、更に守護龍自身の魔力の消耗が危ぶまれてる可能性があるということです。そう言う事ですよね? 旦那様、天使様?」
「え、ええ! そうよ! 流石、王女ちゃんだわ!」
「概ね当たっているな。だが付け加えるなら、上層部の中でも宗主は違う可能性が多いだろう。こんな分かりやすいヒントが多数ある場所に俺達を誘導する訳ないのだから。むしろ、宗主は気付いていないか、何かそう言う魔法を施されている場合も有り得る。だから、落ち着いて慎重になれと言っているんだ。分かったか? 物騒僧侶」
「くっ……だが、どうすれば良いのだ」
「それを今から考えよう。だから落ち着け」
「……分かった」
やっと、少しは冷静になってきたのか、物騒僧侶は長い息を吐いては、スッと俺を見返しては「拙僧には何が出来るのだ?」と聞き返して来るのだった。
「いくつかパターンが考えられるが現実的なプランは龍信仰の信奉者自体を疑って掛かるしかない。もしかすると、全体に何かしらの情報統制の魔法を施されてる場合も有り得るからだ」
「むっ? だとすると、拙僧も危ないのではないか?」
「お前は大丈夫だ。話しつつもお前の事を調べた。そう言う類いのは掛かっていないと断言しよう」
「むむっ、お前はそういう事も分かるのか?」
「あぁ、そういうスキルが有ると伝えておく。さて、話を戻すと現実的なプランだ。最初に守護龍の位置と存在の確認だ。その為には独自に魔力を当たって探るというのも考えたが、それは時間が掛かりすぎる」
「で、あるな」
「あぁ、だから、物騒僧侶。お前の出番だ。上手く俺達とお前と宗主だけの場を作ってくれ」
「ん? 信奉者を避けるのではないのか?」
「いや、宗主は別だ。頭でも有り、全てを把握してるはずだ。何かしらが施されてるのならば解除して聞き、何も知らない場合も同じく説明しては情報を得るしか無いだろう。だが、周りに上層部の者が居るのは駄目だ。現実的なのはギルドマスターを利用して冒険者ギルドで最初会った時のような状況を作ることだ」
「むむっ…」
「ギルドマスターには俺が当たる。だから、物騒僧侶、お前は宗主を誘導してくれ。やれるよな?」
「……分かった。任された。お前…いや、お主の提案を聞き入れ遂行するのに尽力しよう。任せろ」
よし、そうなると行動を開始しよう。
そして、俺達は行動を始めるのだった。




