冒険59─きな臭い空気。
いや、一線を越えることは無かったとここに明記しておこう。
むしろ、湯屋は良かった。
混浴を侮るなかれ、しっかりと皆その中でも男女で住み分けては仲睦まじく入る仲の者も居れば、それぞれ気さくに皆入り合ってる感じだった。
アレはアレで風情があるものだと思った次第だ。
そして、今は眠りの前に小腹が減った所に、団子串を食べてる所だ。
うん、とっても日本だ。
コレは俺の中の魂をくすぐる光景と言えよう。
とりあえず、食べ切ったら綺麗に片付けられるようにテーブルに置いては俺も口の中をクリーンを掛けては布団へと向かうのだった。
ベッドと違って布団が3つ並んでるのだ。
まぁ、朝になったら、何故か両隣からコイツらが抱き着いて来ているが、俺の眠りが就くまでは平穏が保たれるというもの。布団、万歳だ。
「で、何から調べたいんだ?」
そして、明けての本日だ。目の前には眉間にシワを寄せては俺を見てくる物騒面な僧侶の顔があった。
「物騒僧侶、その眉間のシワをどうにか出来ないのか? 後は歴史を知りたい。現存で残っている一番古い文献を頼む」
「おい、コレは生まれつきだ! あぁ、分かったぞ、探してきてやる」
本当にトゲがある言葉遣いだ。それに生まれつきだ? 俺以外の時に話してる時は表情が柔らかいだろうが、嘘はいけないぞ?
「ふむ、この辺りが最古だろう。どうだ?」
「あぁ、すまん」
ポンッと仕事はしっかりこなすタイプの物騒僧侶から資料を渡されてはテーブルまで持っていき、開いては中を確認していく。
「守護龍──生け贄か。この国、エドには守護龍が居るのか?」
「守護龍様か? あぁ、上層部の僧侶は謁見した事があると聞くな」
「生け贄、守護龍の守護の力を貰うためか。その結界が外敵から、この国を守っているのか」
「そうだ。当初は生け贄の文化があったのだ。しかし、慈悲深い守護龍様はそれを嘆き、私達に写し身を授ける事で生け贄の文化を自ら失くしたのだ」
誇らしそうに物騒僧侶はそう宣っているが、俺には疑問しか湧かなかった。
「それだとおかしくないか? 外敵から護ると書いてるが実際は魔物に襲われてるじゃないか」
「む、そ、それは…」
「それにだ。守護の結界の維持は何からエネルギーを、魔力を得ているんだ?」
俺には脳裏にダンジョンのシステムが浮かんでいた。
冒険者から魔力を徴収しては維持している、あのシステムだ。
「確かにそうね。この国を覆うくらいの結界なら相当な魔力が必要なはずだわ」
「天使様そうなのですか?」
「それに文献だと写し身の鱗の証明は当初は目立たない大きさと書いてるわね。だから、このサイズからの魔力の徴収する分で十分だったって事ね」
「ですが、天使様目の前の物騒僧侶様は──「なっ、俺は物騒では…」」
「えぇ、彼も含めて大きく鱗を持っている人も居るわね。それにそうなると鱗の比率によっては写し身の本質に寄ってしまってはドラゴニュートか、人かの分かれ目になっていそうね」
「おい、駄天使。そうなると現状は結界の維持が出来ていないのは魔物の影響から分かっている。そして、更に維持が危ぶまれる位だから尚更、魔力を得ようと鱗の多い存在が産まれているということか?」
「た、多分」
「い、いや、そんなはずは……」
おいおい、物騒僧侶さんが慌てているが一気にきな臭くなってきたぞ。
とりあえず「物騒僧侶、ここ最近の魔物の出現の頻度が分かるものがあるか?」という俺の一声で、物騒僧侶が慌てて資料を集めに向かうのだった。




