冒険58─物騒僧侶再び。
「さて、どうしましょうか!」
「俺の我儘を言っても良いなら、少しこの場所、土地を調べたい」
「旦那様何か気になることでもあるのでしょうか?」
「いや…昨日のこの土地の住んでる住民だが、この宿屋の女将もそうだったが、皆身体のどこかには鱗があるんだ。要はドラゴニュートという種族がこの地の住んでる先住民と言うことだろう? 俺の知識だとドラゴニュートというのは珍しい種族のはずだ。何故、こんなにも居る? それとも見分けが付かないだけで実は多く居るんじゃないか?」
「確かにそう言われると気になりますね」
「良いんじゃないかしら? どうせ、次の船がいつ出るかも分からないし、折角の島国! 美味しいものもあると思うのよね! 色々調べてみましょ!」
おい、お前は食いたいだけじゃないのか? と言いたくなったが、まぁ、多少なりともコイツは気を遣ってくれたはずなのだ。コイツも成長しているのだ。俺もそこは認めるべきだろう。
1つ頷いては早速調べを開始してみたのだが、結局良く分かることは無かった。
「お前さんら何か探ってるのか? 色々と噂になってるぞ?」そんなギルドマスターの声掛けが数日目で冒険者ギルドに訪れた際に、先の内容から調べてると伝えると「なら、龍信仰の場所に行けばいいじゃないか? どうしたんだ? 最初の出会いこそアレだったが基本的には良い所のはずだぞ? 行ってみればどうだ?」と、ギルドマスターの一言もあり、何となく苦手意識から避けていたルートだったが俺達は龍信仰の拠点へと向かうのだった。
「なんだ、お前達! ここは龍信仰の総本部だぞ! 何のようで来た!」
「おい、おい。何も聞かずにいきり立つなよ。物騒僧侶」
「ぶっ──物騒僧侶だと?! まさかとは思うが拙僧の事を言っているのか?!」
「いきなり睨み付けて来るお前以外に誰が居るんだ!」
ギャースカギャースカと門前で騒いでいたせいなのか、他の俺達に気付いた関係者が上に判断を仰ぎに行ったのか、程なくして宗主さんが出てくるのも時間の問題だったらしい。
「いやはや、この物騒僧侶が申し訳ない」
「なっ! 宗主様!」
「お前の信仰心が厚いのも分かっておる。だが、それと部外者を排除する傾向は同じではない。何度も説いてるだろう、わからんのか?」
「いえ、拙僧は──」
しゅんとその後ろに付いてる尻尾も心なしかしなだれたのを機に物騒僧侶は押し黙った。
「それで、アナタ様は我らの、この鱗の由来を知りたいとこちらに赴いたのかな?」
「まぁ、そういう事になる」
「ほっほっほ。この地に来て数日で気付いては疑問に思い、そして調べる魂胆は見上げるものがあるの。して、何故調べておるのだ?」
「いや、そうだな……単純に気になったというのもあるが、龍信仰が盛んというか、このエドという国は主な宗教なのだろう? 他の国は分からんが、今までウェストール、エーゲと旅して来たが基本的には多宗教が入り乱れているのが現状だった。一神教に近いのも珍しいのと、その肌の鱗と来ては後ろの見事なドラゴニュートだと思ってはいるが、物騒僧侶だ。気になって調べてみるのは、おかしい事ではないだろ?」
「ほぅ、なるほどの。なるほど、ならその言葉に乗せられようかの。シーサンペントの借りもあるしの。この総本部の資料室の閲覧を許そう。歴史的文献も多いからの答えがあるじゃろうの。そして、物騒僧侶!「は、はい! 宗主様!」お主、彼らの助けになれ。コイツをアナタらの助けに出そう。良くしてやってくれ」
「いいのか? なら、有り難く調べさせて貰おう。後、物騒僧侶、改めて宜しくな?」
「ぐぬぬぬ。ふんっ! 良いだろう。宗主様の命だ。拙僧が手伝ってやろう。感謝するがいい」
「へいへい。では、本日はお暇させて貰うぞ。明日、また来る。その時は頼む」
別れを切り出しては、明日の約束を同じくして俺達は龍信仰の総本部から立ち去るのだった。
夕方にかけては駄天使の我儘の時間だ。食事巡りだ。
その後の湯屋は王女ちゃんの我儘だ。何故か、このエドは混浴が主流なのだ。俺の試練の時がまた訪れるのだ。




