冒険55─休暇とはしっかり休む事を言う。
この異世界には転生者の名残りが数多に見られる。
そう、この牡蠣にバター醤油で食べるやり方とかカニ味噌にお酒に……と、とりあえず俺達はエドに向けての船が出るまでの間は呑んでは食っては観光をエンジョイしていた。
クエスト? いやいや、お金があるのにわざわざ危険を冒す意味が何処にある? 俺の提案に駄天使は例の如く大賛成で、ちょっと戦闘狂気質になっている王女ちゃんも一応は駄天使にならっては賛同してくれたので、この道楽を繰り返しているのである。
さしものギルドマスターもドン引きになるかと思ったが「ガハハハ! 抜く時は抜いて遊び尽くす! 分かってるじゃねぇか!」と何故か、酒を片手に仕事をしつつ豪快に笑っていた。そうだ、コイツも俺達よりだったか、ずっと仕事漬けになってしまっているのか、存在が遠くに見えたサブギルドマスターが恨めしそうにギルドマスターを見ていたのは、俺は見なかったことにした。アレは危険だ。俺の直感スキルが働いた気がした。
「はぁ! 最高だったわ! あそこのお店、もう一度行きたかったのだけれども!」
「いや、ポンコツ駄天使。お前はあそこの店はそう言って3回は行ってるじゃないか。何回あそこの店に行きたかったんだ?」
「後もう少しでメニューをコンプリート出来そうだったのよ!」
「さいですか…」
このポンコツ駄天使、俺達と食べ歩きながらも更に開拓しては食べ尽くしていたようで、あの自称天使のお腹にはダークマターが潜んでいるとか街中で噂になっていたくらいだ。俺もそう思う。
「こちらも準備終わりました!」
「よしっ、行くか!」
王女ちゃんも支度が終わったようだ。
俺と駄天使は共有のアイテムボックスが未だに魂の繋がりで使える反面から、バカスカ物を入れ込んでるから特に支度に支障はないが、王女ちゃんは別だ。アイテムボックス機能付きのアイテム袋は持っているが容量が限られてるから、俺達に預けられづらい物などは自分で所持してる感じだ。主に下着というか、下着というか、服というか、武器のメンテナンス用品とかだ。
あぁ、そのまましっかりとプライバシーを保って貰えることを俺は祈るばかりだ。
下着まで一緒に持たされたらドギマギしてしまうからな。
「おう! しっかり休めたようだな!」
ニカッと朝日に照らされた鍛え上げられた筋肉を魅せながらギルドマスターが仁王立ちで俺達を待っていた。
今日は遂にエド国に向けて出発の日だ。
「へぇ~、立派な船ねぇ」
「あぁ! 俺達エーゲでも誇れる魔力船だ!」
魔力も補助動力として備えられてる船という認識で良いらしい。
コレでエド国までも航海も難なく踏破できるようになったとの事だ。
ただし、魔力をある程度溜め込むまでの間の期間はお休みに入ってしまうらしかった。
しかし、船乗り達のリフレッシュ休暇にもなるから概ね良好との事だ。
そして、俺達はエーゲの冒険者ギルドの人達や、飲み食いしては繋がりの出来た住民から盛大に見送られながら、エド国へ向けて再び冒険を始めるのだった。




