冒険54─次の冒険先は。
「か、帰って来れました…」
「流石の私も疲れたわ」
「あぁ、まさかシーサンペントまで現れるなんてな」
あの後、そう、何事も後始末が大変なのだ。
クラーケンの回収でさえ骨が折れる作業の所にシーサンペントが追加された事で場が騒然となったのだ。
それに元より、クラーケンに関してはエーゲの冒険者ギルドが筆頭に舵を取ってはその所有権や分配も請け負っていたのが良かったが、シーサンペントに関してはギルドマスターが所有権を辞退したことにより、全て俺達の所有権になったのだ。
そう、それらの回収が酷かったのだ。
要は盗みとか無いかもギルドマスターが目を光らせていたし、何なりで心労も尚の事だった。
とりあえず、隠すのもアレだったので貴重なアイテムボックスだと名を打ってはアイテム袋(偽装)を通してバカスカと回収して貰ったシーサンペントを放り込んだ次第だった。
後はクラーケンの回収に、海賊の捕縛と、その海賊の財産や貴重な資料の回収、いや、本当に忙しかったんだ。
普段は「ご飯!」「お風呂!」と発言する、駄天使と王女ちゃんでさえ、死んだ魚の目をしてるのだ。
とりあえず、本日もギルドマスターの用意して貰った高級宿で飯を用意して貰っては室内に備え付けられてるお風呂に入っては3人一緒のベッドだけは変わらずに眠りに就くのだった。
ちなみにお風呂に限っては昨夜はお酒の勢いもあったのか、2人に混浴を迫られたが、今夜も合わせて俺は何とかそのフラグは回避に成功したのだった。
あの2人と混浴なんて、俺の理性が保てる気がしないだろう。賢明な判断だと言ってくれ。
そして、翌日の冒険者ギルド長室にて「本当にすまん!」っと、頭を盛大に下げるギルドマスターが居たのだった。
「どういうことだ?」
「あぁ、クラーケンに関しては報酬に関しても用意できる。その駄天使さんの言う足とかの部位も何本か渡そう」
「ちょっと、何が駄天使よ! 天使よ!」
「おい、お前は黙れ! 話がこじれる! で、何で謝ってるんだ?」
「シーサンペントに関してだ。あれの報酬、そして買い取り含めて、俺達のギルドでは扱えん!」
「えっと、どうしてでしょうか?」
「王女さん、うちのギルドの資金がクラーケンでもう沢山なんだ。そこに大物の化け物のシーサンペントクラスになると手に負えん」
「なるほどな。だが、売れる宛とか有るんだろ?」
「1つだけというか、重ねてお願いしたい事もあるんだ。いや、正式なギルドの依頼としても通そう」
「へぇー。話だけは聞こうじゃないか」
「あぁ、どうやら奴ら船で結構遠方まで稼いでいたらしい。奴らのアジトの資料を漁る中で隣国という表現はアレだが、ここから船で1週間は掛からんか。島国が有ってな、そこで密漁なら密売を、エーゲを通してやっていたみたいでな。向こうの冒険者ギルドと連絡を取ったら、こちらの資料を向こうの証明代わりに欲しいとのことで「ちょっと待て、もしかして、その証明代わりを運ぶ役目を俺達に押し付けようとしてるのか?」あぁ、すまん。それにシーサンペントに関して話しても、向こうは【和の国】という名を冠するようにエドという名の国なのだが、龍信仰が盛んなんだ。シーサンペントは龍にも見れるからな、すげぇ……その興味を持たれてな。報酬や買い取りも含めて向こうはそれ相応の準備が出来るって言ってやがるんだ。どうだ、頼めるか?」
「ちょっと待ってくれ」
暫し目を閉じる。
いや、俺には今はシーサンペントは横に思考を置いていた。
目下の俺の考えは【和の国】エドに関してだ。
首都という表現が正しいのだろうか、エドとは江戸の事なのでは? それに島国と来たか正直に興味しかない。
少しソワソワしだした心を胸に両隣に居る2人を見ると、同じく少しソワソワした表情で頷き返してくれる。
「分かった、その話受けよう」
「ありがてぇ! やっぱりお前さん、良い漢だ! 正式にクエストとしても発行する! 色は付けるし、船も用意する! だが、出航まではまだ準備や期間もある。その間は宿に関しては今のままギルドが請け負おう。少しでも報酬扱いだ! それまでの間はクエスト受けるもよし、観光も良しだ! エーゲを楽しんでくれたまえ! ガハハハ!」
色々と目先の不安が解消された結果だろう。
ギルドマスターが普段の調子に戻りつつもニカッと笑うのだった。
そして、同じく俺達の次の冒険の先も決まるのだった。




