冒険53─シーサンペント…お前はお呼びじゃない。
「おい、アレはなんだ?」
そんな海賊を捕縛していた1人の発言が始まりだ。
コチラへと顔を海面から突き出しては迫ってくる奴を発見してしまったのだ。
「おい、アレは…」
おいおい、冗談じゃないぞ? ポンコツ駄天使の幸運って、こういう事か? セットでお得って事か? いらないぞ? こんなセット? 勘弁してくれよ!
「おい、アレは……嘘だろ、シーサンペントじゃねぇか!!」
あぁ~、確定しちゃったよ。いや、確定させちゃったよ。ギルドマスターの一声で現場が騒然となる。
おい、そこのポンコツ駄天使。お前もその一部となるな。お前の望んでいたシーサンペント様だぞ? 王女ちゃんもさっきまで、沢山剣を振るえたのが嬉しかったのか、ホクホクさせていた顔が見事に引き攣っているぞ?
「っ! ここは俺が何とか押し留める。おめぇらは早く逃げろ!」
「いや、そんなギルドマスター! アンタはエーゲに無くちゃならない存在だ! それだったら俺達が奴の足止めに!」
いや、そんな悲観なやり取り辞めてくれ。
竜は狩ったが、シーサンペントは曰く大蛇みたいなもんだろう。
大きな蛇だと思えば、大きな竜より幾分マシだ。
マシだよな?
いや、頑張れ俺。
ほら見ろ、駄天使と王女ちゃんがこっちをちょっと期待という名の助けてという目で見てきていやがる。
「ギルドマスター、俺も助太刀するぞ」
「おめぇさん、やっぱ女だったら最高の──」
「おい、ここでその冗談は本気で止めてくれ」
勘弁してくれ、シーサンペントより怖い圧を感じたぞ。
やめてくれ、俺は歴とした男だ。
情けなくも最近はポンコツ駄天使と王女ちゃんにも何故か意識してしまってる、しょうがない奴なんだぞ?
とりあえず、物凄い勢いで向かってくるシーサンペントを睥睨しつつ、俺は鞘から剣を抜き放つ。
さっきのクラーケンで感覚は既に掴んでいる。
剣に魔力を這わせてはシーサンペントと邂逅、接敵する瞬間を計っては一気に魔力を解き放ちつつ斬りつけた。
ザバァァン──と、良い音を立たせながらシーサンペントがその巨体を空中に投げ出さるのは必然だったかは神が知るのみだろうが、その神はバカンス中だ。
俺の魔力が正面から受けたシーサンペントは受け止めきれずにその身を空中に投げ出されていた。
「ギルドマスター! おい、そこのポンコツ駄天使!」
「おうよ!」
「ポ、ポンコツじゃないわよ! やればいいんでしょ! やれば!」
ギルドマスターがバトルアックスを、駄天使が剣を閃かせては空中に投げ出された無抵抗のシーサンペントを斬りつけてはその身にダメージを与えていく。
「流石は蛇だ、竜の足下にも及ばない」
一瞬、シーサンペントの瞳と俺の瞳が邂逅するが、奴は驚いた視線を俺に与えるだけだった。
そのまま、俺はシーサンペントの首をスパンっと一気にその身体と断ったのだった。
一瞬の静寂が洞窟内に包まれたが、シーサンペントの巨体が海に投げ出されては浮かび上がると「うおおおお!!」と周囲が沸き立つのだった。




