冒険51─クラーケンは大きいよ。
「が、頑張ります」
「大丈夫よ! この美少女天使も居るんだから!」
おい、尚一層、王女ちゃんの顔色が悪くなったぞ。
信仰心よりも恐怖心が勝った瞬間を見た気が俺はした。
「お~い! おう! 準備バッチシじゃねぇか!」
ギルドマスターがニカッと宿の前で俺達を待ち構えていた。
昨日の酔いは何処に行ったのか。その顔色は晴れやかだ。
「当たり前よ! クラーケンが待ってるんだから! 足の1本くらいは寄越しなさいよね!」
「おうおう! 威勢が良いな! 良いぞ! 1本どころか、倒せるなら欲しい部位なんでも持ってけ!」
「見た! コレが交渉ってやつよ! 覚えときなさい!」
いや、交渉も何も無いだろう。何をコイツはドヤってるんだ。
少しだけ可哀想な目を向けたら、コイツは敏感に反応しては噛み付こうとしてきたが、王女ちゃんが横からドードーと駄天使を押さえていた。
「船の準備は出来てる。こっちだ!」
そして、ギルドマスターの先導に着いて行ってはそれなりの船に俺達は乗り込んではクラーケン討伐、もとい海賊達の捕縛も兼ね備えて、海賊の根城の小島へと向かうのだった。
「おめぇ達は海賊の捕縛だ! 俺とコイツらはクラーケンを担当する! いいな? おめぇら! 気合い入れてけよ!」
「「おう!」」
様々な声が上がったが、士気は上々だろう。
少し遠くには小島が見え始めている。
探査を使った感じは未だにクラーケンっぽい存在を探知は出来ない。
いや、それよりもクラーケンの存在に恐れてか、魔物も逃げてるような印象だ。
だが、小島の1か所。海蝕洞窟が見えて、チラッと海賊船だろう、その場所を見つけては近付いて行くと、クラーケンっぽい反応を掴む。
掴むというよりは洞窟の中からする。その答えを指し示す事は──。
「ギルドマスター! やべぇです! 奴ら、クラーケンに襲われてます!!」
「ちっ! 遅かったか! だが、もう人間の味を奴は覚えちまった! おめぇら! 覚悟を決めろ! このまま突っ込む! 俺とコイツらはクラーケンを相手する! お前らは捕縛と救助を優先しろ!」
「ちっ! おい! ポンコツ駄天使、お前の幸運とやらはどうした!」
「ちょっ! 知らないわよ?! 私に振るの卑怯じゃない?! それより、大きいわね!?」
「天使様? 天使様? 大丈夫なんですよね?!」
「あ、当たり前よ! あ、アイツもいるんだから!」
おい、結局俺頼りかよ?!
コイツっ! コイツっ! いや、本当に。
おい、王女ちゃんも泣いたような縋る目で俺を見るな!
ちっ、仕方ない。
「クソッたれ! おい、行くぞ! クラーケンは任せろ!」
俺も腹を括っては洞窟に突っ込んだ勢いをそのままに、海賊達を襲っては捕食を始めている、クラーケンへと斬り込むのだった。




