冒険50─蟹三昧!
蟹、蟹、蟹──蟹三昧!
両手を広げて、さぁ、君も──蟹三昧!
って、ちゃうわ! ノリと突っ込みを入れては何とか現実を直視しようと思う。
緊急クエストの意味合いも周りの冒険者、海の漢達や、そこいらの住民達も混ざっては討伐しては茹でて、食い漁っているのを見たら、これは祭りみたいなものだと認識できた。
ほら、見ろあのポンコツ駄天使の幸せそうな顔を。
「お、美味しいわ! カニ味噌は取っておくのよ!」
「はい! 天使様!!」
蟹の身を一身に口に頬張りつつも、手元は動かしては蟹を討伐、もとい食べ漁っていくのはコイツが本当に天使なのかと目を疑う光景だ。
そして、天使ちゃんは剣を楽しく振っておらっしゃる。
目がランランと輝いていて、ぶっちゃけ怖い。
冷凍出来るものはしては保管庫行き。
俺達はこっそりとアイテムボックスにある程度は確保。
その日は夜遅くまで、エーゲを挙げてはお祭りムードが巻き起こったのだった。
まぁ、ただで美味しい蟹を食べられるのだものな。
しかし、移動中に成人を迎えた王女ちゃんがカニ味噌とお酒を蟹の甲羅でズズッと呑んでは豹変したのは案の定だった。
「天使様! 何を考えてるんですか!? クラーケンてすよ! クラーケン! 私はただの夢物語を語っているのだと! 討伐?! 嘘ですよね!? 頭、悪いんですか!!?」
めっさ、責められてるのとディスられたので、駄天使は涙目だが、反省して欲しい。王女ちゃんの意見が世間一般的な意見だ。
そんな責め立てられる駄天使を横目にしつつ、俺を呼ぶようにギルドマスターが手を振って来たので、ギルドマスターの所まで俺は一旦場所を離れる。
「おい、もしだぞ? クラーケンが獲物だ。ここでいう蟹が大漁に逃げ出して居なくなったら、次は奴は何を狙うと思う?」
「は? そりゃ、小島に隠れてる海賊だろう」
「でだ。クラーケンも元を辿れば魔物だ。人間の味を覚えたクラーケンはどうする?」
「そりゃあ、ここエーゲを狙うだろうさ」
「あぁ、その通りだ。おめぇさんはやっぱ、頭の回転がいいな。なら、俺の言わんとしたいこと、分かるよな?」
「時間が無いから、早く討伐に行きたいって事だろ? それか、人間の味を覚える前にテリトリーを移動させるかって事か」
「あぁ。すまねぇ、助けてくれ。腹を割って話すと、ここいらの冒険者はシルバータグの冒険者がゴロゴロ居るが、ゴールドタグも居る事は居るが、奴さんらはあくまでも狩りという事ではない。海洋事業の貢献の面で成り上がったに近いんだ。直接的な戦闘を考慮したら、俺くらいしかまともに戦えんと俺は見てる。情けねぇ、話だとは思うが俺と来てくれねぇか? 船は明日、用意する。宿もこのエーゲの最高級を取ってある。明日迎えに行く。頼む」
チラッと遠巻きに未だに泣いちゃった駄天使と、更にそれを悲嘆しながらも責めている王女ちゃんを見る。
断ったら断ったで後味悪いのと責められるだろうし、承認したらしたでアイツらから責められるだろうが、後味の悪さは無くなるのか?
いや、アイツらから失望されたくないだけか。変な見栄でプライドを持っちまったもんだな、俺は。
「ちょっと、今からアイツらにも話さないといけないがとりあえず、宿の場所を教えてくれ」
「おめぇさん、やっぱ良い漢だわ。胸に俺とこのエーゲの漢達と同じくらい熱いもんを持ってるんだな! おめぇさんが女なら、俺はおめぇさんを逃さなかったな! ガハハハ!」
おい、辞めろ。急にシリアスホラーな感じになるじゃないか。
宿の場所を聞いては俺はそそくさと退散しては2人にクラーケン討伐の旨を伝えると、駄天使は嬉しそうに、王女ちゃんの顔は蒼白に。紅白ここに有り! って、思ったが、王女ちゃんの責め苦の対象が俺に代わり、結局許されたのは一緒にそのまま眠る事という、いつものルーチンに落ち着いたのだった。




