冒険45─武器もそろそろ一新の時だった。
「なんだこれは、いや、どうして壊れてない!? 逆に怖いぞ、これは…」
「ふふん」
いや、駄天使。そこは胸を張るところではない。
それにお前には致命的に胸は無い──あ、すまん。何でもない、その目を俺に向けるな。
「お主ら武器の手入れはしてるのか?」
「「……」」
沈黙は金なり。そう気まずいから黙っている訳では無いのだ。
「旦那様…天使様…」
王女ちゃんがすっごい目で俺達を見てくるが俺達は流石にやり過ごすのは厳しいと判断して「すみません、碌にしてません」と言えば、職人のおっちゃんは盛大なため息を吐いたのだった。
「おい、2つ選ばせてやる。腕は確かなようだからな。ちゃんと日々メンテナンスが必要な武器か、自己修復機能が付いてるが魔力を喰う武器かだ」
「俺は自己修復機能が付いてる武器を」
「私も!」
「私はメンテナンス必要な武器を…」
俺と駄天使は自己修復、王女ちゃんは通常の武器か。
まぁ、魔力量的にも妥当だろう。
王女ちゃんは鍛えれば伸び代はあるだろうが、まだ毛が生えた程度だ。
うん、妥当だ。
「得物は何が良い?」
「「「剣で!」」」
「ちょっと待ってろ」と俺達の背格好や適当な剣を振らせたりして、採寸やら剣の適切だろう重さやらを見定めた職人のおっちゃんは暫く店の裏側へ行ってから3本の剣を持ってきてくれた。
「自己修復機能付きのは死蔵されつつあったやつだ。偶然効果が付いた奴だな。魔力を結構喰っては常に最高の状態を保つが、魔力だけが難儀な部分だったがお前らなら大丈夫だろう。嬢ちゃんはこっちだ。俺も中々の結果だと満足した一振りだ。メンテナンス材料はオマケで付けてやる。だが、街へ立ち寄った際は都度、しっかり見てもらった方がいい、分かったな?」
「は、はい!」
「ありがとう、おやっさん。それで値段はどうなる?」
「あん? そうだな…正直、自己修復機能の武器は値段が付けられないがこのくらいでどうだ? お前さんらの実力だと払えるだろ?」
良かった。本当にギルドでお金を下ろしていて良かった。
結構な金額だったが、ドラゴンの報酬からみたら微々たるものだ。
まぁ、国家予算も良い所のお金を所持してるようなものだからな。
とりあえず、現金ニコニコ払いで払ったら、おっちゃんの無愛想な表情も少しは驚いた顔の後にニコニコしていたように見えた。
まぁ、少しだけ眉と口元が緩んだ位だったけれどもな。
「良い買い物をしたな」
「これで折れるまでは安泰ね!」
「おい、高かったんぞ? 分かるよな?」
「わ、分かってるわよ…」
「旦那様、天使様。ありがとう御座います」
「あぁ、大切に使ってくれよ」
「はいっ!」
「さて、後は今夜の飯を手に入れに行くぞ!」
「やっとね! 沢山釣ってみせるわ!」
「私も頑張らさせて頂きますね!」
そのまま、俺達は運河へ向けて、今夜の飯の為に釣りという戦いの場へと向かうのだった。




