冒険43─悪酔い王女。酒に飲まれてはならんぞ。約束だぞ☆
「もう、信じられません! 兄は! 父は! 人間のクズです! 兄上の母も噛んでるはずです! 皆等しくギルティです!!」
「ほら、王女ちゃんドードー」
「私は馬じゃありません! 王女です!」
「おい、ポンコツ駄天使。王女ちゃんに何を飲ませた?」
「えー? あの時、私達からの1杯飲めなかったからって飲ませただけよ?」
「おい、王女ちゃん。酒は初めてか?」
「な、何を! 私だってそろそろ卒業して成人だったのです! イメージでは何杯も!」
「……おい、駄天使。ちゃんと介護するんだぞ?」
「え? 嫌よ?」
……このポンコツ駄天使め。
そして、王女ちゃんにアルコールは駄目だ。この子我慢してる分、アルコール入るとそれが全部解き放たれるタイプの奴だわ。
「天使様だってですね! 天使様です! もっと、しっかりして欲しいのです! 伝説では天使とはもっと清廉な存在なんですよ! これじゃ、旦那様の言う通りポンコツ駄天使です!」
「な、なにぉぉー! 王女ちゃん言わせておけば! 私は美少女天使で純潔なのよ!」
「いや、待てそこじゃない。いや、そこも大概な発言だが、待て、王女ちゃん旦那様って誰のことだ?」
「あ、アナタ様の事です」
「は?」
「な、なにぉぉ~! わ、私より早い抜け駆けは禁止よ!」
「いや、お前も何を言ってるんだ!」
「あの〜お客さん? ちょっと静かにして貰えないですかねぇ?」
流石に騒ぎすぎたようだ。
店側から小言を言われてしまった。
いや、待て、それより旦那様ってなんだ? 先生だろ? 先生って言ってたよな? なんか凄いグレードアップしてるのだが? まぁ、酔いのせいだろうさ。
店側からの何とも言えない視線もあり、早々とそのまま宿で宿泊料を払いつつ、湯屋でサッパリしたら、良い感じに王女ちゃんも良いが醒めてきたのだろう。
「せ、先生──先程はいえ、だ、旦那様?」
「ブフォ」
一気に風呂上がりの一杯が出てしまった。
「なぁ、どうして旦那様なんだ?」
「えっと、私…その初めてで、ここが…その凄いドキドキしていて、ずっと──」
それは世間では吊り橋効果って言うんじゃないか?
いや、でも王女ちゃんの目は本気と書いてマジである。
「ポンコツ駄天使…お前からも何か言ってやれ」
「1番は私、2番は王女ちゃん。これは決定事項です!」
「いや、そうじゃない」
そうじゃないだろう。
なんだ、ポンコツ駄天使に悪酔い王女だと?
おい、まともな枠は無いのか? なんだ、このダメダメコンビは。
頭痛を感じてはこめかみを揉むと心配そうに見てくる2人が居る。
はぁ~、これも運命か。
いや、ポンコツ駄天使を呼んだのは俺で、悪酔い王女を拐ったのも俺だ。
元を辿ると俺のせいなのか? 信じられん。
「分かった。もう、何もいうな俺も言わん。宿に戻るぞ」
とりあえず、宿に戻ろう。あそこは平穏だと思ったが、そんな訳は無かった。
部屋の確認をしていなかったのが致命的だった。
宿屋の主人のサムズアップの意味はキングサイズのベッド1つで意味が分かった。
俺は逃れられない運命に再びため息を吐いては2人に挟まれて悶々とした夜を闘い抜くのだった。




