冒険39─同じ情報を共有する者は共犯者ともいう、はたまた仲間とも。
「あの…ありがとう御座いました」
「とりあえず、口に合うかは分からないが食べな」
「ねぇ? まともなのは無いの!?」
「俺達には金が無いんだ! いや、さっき貰ったか…だが、それまでは食材やらを買い込む金が無かったんだ! お前なら分かるだろ?」
「な、なんの事かしら?!」
あっ、コイツ自覚はしてるな。
そうだよ、このポンコツ駄天使だ。
稼いだ教職のお仕事の給金もその日その日で使い切るというか、食べ切ってたんだ。
そう、学食で食べた後に俺の目を盗んではデザートへウツツを抜かしては食べ漁っていたんだ。
気付いたのはちょっと小洒落たケーキ屋の横を通り過ぎた際に店員が「いつもご贔屓にありがとう御座います。本日は新作が入りますので! お待ちしておりますね!」と、このポンコツ駄天使に話し掛けた所からだ。
俺も貯めてたが、結局はコイツと俺の分の登城の際への服を揃える際に使い切ってしまったんだ。
本当に予想外だ。
だから、近くに生えていた香草のスープが本日のメイン料理だ。
心なしか王女の瞳から光が消えた気がするが知らん。
生きてるだけ儲けもんだと割り切って貰うしか無い。
「あの…1つ気になったことが有りまして」
「なんだ?」
「先ほどから駄天使、駄天使と…」
「あぁ、それか。それは…「それは私が天使だからよ!」おい、お前!」
「良いじゃない! もうこの子を捨てるなんて出来ないでしょ! それに私が許さないんだから!」
「お前、自分の立場が分かって言ってるんだよな?」
「ひぃ?!」
「えっと、天使というとあの伝説上の神の使徒様の…?」
「ふふん!」
あぁ、また無い胸を張りおってからに。
憐れみの目で見ていたら、視線を追った駄天使は意味を悟ったのか、急に目が据わったので危険察知の働いた俺は目を逸らす。
パァァァ──と、効果音ヨロシク。
輝きを感じて視線を戻せば、何を考えていたのか、このポンコツ駄天使はその白い翼を隠さずに現していた。
「本当に天使様?」
「ええ! そうよ!」
「あっ──」
そして、王女ちゃんは何と手を合わせては祈り始めたのだった。
あっ、もしかしてじゃなくても、敬虔な信徒だったりするのね。
「私、着いていきます」
「あー、良いのか? それにコイツの事は黙っててくれ」
「分かりました天使様の事は秘密に」
でも、天使様呼びは固定なのね。
まぁ、いいや。コイツ自身が最近は美少女天使とか吹聴し始めているし、周りは最初はチヤホヤしても内情が分かれば可哀想な目を向けてくる者も居る始末だからな。
何とか、なるか?
それにしても天使は伝説上の生き物的な扱いなのね。
とりあえず、味気無い香草のスープで満たされないお腹を満たしては俺達はそこで周囲を警戒しつつも一夜を過ごすのだった。




