冒険37─殺意高め。王位継承争いって怖い。
「王女様、失礼致します」
「あら、ありがとう御座います」
「ですが、その前にギルドマスターから何か話が有るようで」
「えっと…?」
訝しげな反応は一瞬で何かを悟ったような王女ちゃんの反応は早かった。
「良いでしょう、ギルドマスター様、何か?」
「はっ! 発言を許して頂きありがとう御座います。私の持っています自衛の為の状態異常避けのアーティファクトがそこの品から反応が有った次第、確認させて頂く」
「許可します」
その一連の流れを見ていた周りは三者三様でザワザワと騒ぎ出す。
王子の顔が一瞬だが歪んだのを俺の瞳が捉えたことで、この国の癌が相当根深いのを確認してしまった。
どこの家族で唯一の妹を毒殺しようという兄が居るのか──此処に居た。愚か過ぎる。
王子の隣に控えていた宰相なる者も口を歪ませては仄暗い感情の発露を感じ取ったからには黒だろう。
すぐさま宰相さんが「そちらを用意した給仕をここに呼べ!」と叫べば遠巻きに控えていた騎士が動いては、これはまた良いように決められたように動き始めていた。
「アーティファクトの反応は黒です!」
そう言葉が聞こえてはギルドマスターの方を見れば手に持った状態異常避けのアーティファクトが黒く光り輝いては危険なものだと知らせているようだった。
そのまま王女を視界に捉えては遠くの背後まで視線を向ければ随分と遠い位置にある小山からチラリと何かが照らし返したような気がして目を意識すると千里眼スキルが働いたのか賊が見えていた。
どのくらい周到に今夜に王女を殺そうとしてるのだか。ため息しか出てこない俺が居た。
「わ、私は知りません! 本当です!」
うん、本当だろうね。
俺にはスキルや加護の影響からその給仕が嘘を付いてないのが分かる。
「何を言っている! 貴様ら平民風情が発言は許されておらぬ! 殺せ!」
「はっ!」
「待って、私は──」
うん、随分アッサリと殺すね。
後続に続いてはしょっぴかれて来ている給仕の顔は真っ青だ。
その内の1人からは明らかに怪しい反応を感じ取ったから彼が犯人なのだろう。
けれども、この場の王子派の派閥の人間は人を人とも見ていないと言うよりは所詮は駒として見ていないのだろう。
何かを言う前にどんどんと殺し始めている。
王女ちゃんは恐怖に顔が引き攣っているし、王女派だと思われる派閥は二の足を踏んでいる。
王は知恵というものが抜け落ちたように腑抜けになっている。
宰相だけがドンドンと指示を出しては虐殺が執り行われている。
うん、これ無理だわ。
ギルドマスターでさえ、ドン引きしている。
駄天使? あいつも口を開けて思考ストップしているよ。
でも、俺には小山からの微弱な反応を感じ取っていた。
王女に向けての凶刃が放たれたのをこの場で唯一気付いていた。
ギルドマスターの話を聞き入れた訳じゃない。
ただ、寝覚めが悪いから仕方ないだけだ。
俺はポカンとしている駄天使を片手で抱き寄せてはそのまま駆け出して、間一髪、王女の手を取っては抱き寄せては彼女へと迫っていた凶刃から彼女を救う。
そして、そのまま周囲を置いていくように俺は2人を抱き寄せては抱えながら一気に王城外へと駆け出し始めたのだった。




