冒険34─持てない報酬は報酬とは言えないんだ。持てる報酬が報酬という。
「おう、来たな! 待ってたぞ! 似合ってるじゃないか!」
「あぁ、そうだな」
「おいおい、つれない態度だな」
そりゃ、そうだろ。
冒険者ギルドまで裏口には馬車が停まっていてはこれから乗り込むタイミングだ。
登城にかけてはこのギルドマスターも一緒に呼ばれてるとの事だ。
ま、同じく褒賞だろうけれどもな。
後は俺達のお守りやお目付け役といった所か。
全く、それなら呼ばなければ良いものをと思ってる顔が表情に出ていたのか、ため息1つ吐かれてはギルドマスターに諌められる俺も居た。
「冒険者ギルドより、ギルドマスター! 及び、今回の立役者の冒険者一同のおなーりー!」
王の御前、その前の扉が開かれては中の光景が見えてくるが、これはこれは豪勢な事で。中は貴族一同に王、それに王女並びに、噂の王子と王女ちゃんも見える。
そして、王女だが、2人居る。そうだ2人だ。この王様娶るなら沢山娶れば良いものを2人だけに絞ったのだ。
世継ぎだって少ないのに、それ以降は作らないと来たものだ。
そりゃあ、後継者争いが面倒なことになるはずだ。
だが、第一印象を見てみると、どうやら想像通りだったみたいだ。そりゃあ、悪い意味でだ。そんな権力闘争など起きてるとは露知らずな呑気な顔をしてやがる。
言ってしまえば覇気が無いのだ。いや、偉そうな雰囲気は感じるのだがな。
とりあえず、ギルドマスターに倣っては前に進み出ては顔を下げては膝を折る。
向こうから顔を上げても良いまでとお達しがあるまではこの姿勢だ。
「良くぞ、参ってくれた! 顔を上げて良い! さぁ、今回の報酬をくれてやろうぞ!」
「は、有難い幸せ」
こういうのは建前だ。本音はこんな所に呼び出しやがってクソ野郎だ。
それにもっと勿体振って話しやがれ。隣に控えてる臣下の方々も少しだけ情けない表情をしているぞ。
いや、これで良いのか。
操りやすいからこそ、価値があるってその席にふんぞり返っているのか。
全くお察しだ。
とりあえずは俺達の報酬は金貨の上の白金貨にまで及んだらしい。
流石にそれを持っては旅も出来んので、冒険者ギルドの預かりとなって、持てる分は金貨で頂く事になった。
まぁ、そこら辺の話もあったからギルドマスターも呼ばれたという訳だった。
後は色々と国預かりにならないかとか話は振られたが、当初から向こうの役人に伝えていた通りに丁重にお断りさせて頂いた。
誰が目に見えた地獄に向かうものか。
そして、休憩室に案内されては夜のささやかという名のパーティーが控えているのだった。
そこで、貴族連中の下賜する内容を伝えるらしい。
全然、ささやかではないじゃないかと思っては口車に騙されたと気付いたのも、今この瞬間だった。




