冒険33─手切れにするタイミングは常に大切だ。
一度受けた事を袖を振ることは許されない。
いや、基本的には直ぐに断れば良いことだろう。
相手の立場によるだろうがな。だが、今回はその立場が些か、いや、かなり悪い。
王女と来たものだ。その背後には魑魅魍魎の権力闘争に明け暮れてるやつらも居るだろう。
正直関わり合いたくない。
そういう心構えはせめて王城に登城する際に身に着けたかった。
本当に最悪だ。
とりあえず、早速放課後からの時間を作っては指導をする事にした。
指導という名のただの模擬戦闘だ。
だが、如何せん、この王女頭の方はかなり切れるらしいが腕に関しては鈍いようだ。
鈍いというか、体を動かし慣れていないのだろう。
軽い打ち合いから、魔法を使い続けたり、戦闘と言うよりも一緒に改めて基礎をなぞっていくような形になった。
なら、王子側はどうだって? お兄さんの方はどうやら頭はそこそこで腕のほうが立つらしい。
もうやだ、この脳筋な感じ。
だから、政治関係は下々が動きやすいことでも調和が取れてるようだ。
確かにそこで頭が切れる王女が頭角を現したのなら、腹に一物も二物も抱える輩には具合が悪いだろうさ。
暗殺未遂も何度もあるようだ。
大丈夫か、この国?
どんどん行きたくなくなる話のオンパレードに王城行きたくないなとボヤいてしまった時には、その言葉が小耳に挟んだのか、王女さん物凄く悲しそうな顔をして駄天使に怒られるという1幕もあったが、行きたくないのは駄天使、お前もだろう。お前はどっちの味方なんだと言いたくなったりもした。
「だいぶ、動きはスムーズになったのか?」
「だと、良いのですが」
「大丈夫、大丈夫! 王女ちゃん、最初の頃よりキレッキレよ!」
「お前はどこぞのパーソナルトレーナーだよ」
「パーソナル…トレーナー?」
「あぁ、いや。なんでもない、こっちの話だ」
まぁ、でも確かに毎日に近い日数をちゃんと身体をお互いに動かしていたのなら形にはそれなりにはなるっていうやつなのか、王女さんの動きもまぁ、目に見れるものにはなったのだと思いたい。
本人自体も成長を感じているのか、嬉しそうにしているけれども、そんな笑顔、初めて見たぞ?
「色々とありがとうございました」
「あぁ、いや。こっちこそ、助かった」
「あの、またお願いしても──」
「いや、ここまでだ。今回はタイミングが重なったからだ。俺達は冒険者なんだ。一定の場所に留まる訳じゃない」
「そ、そうですよね」
いやいや、これ以上デンジャーだって分かってる場所に近づく阿呆は居ない。
見ろよ、このポンコツ駄天使でさえ、首を横に振ってるぞ。
そうだ、それが正しい反応だ。
そんな悲しい顔をするな王女さんよ。運命なんか色々あるんだ、これから長い人生、一時の感情みたいなものさ。
ギルドマスターから先日に遂に謁見の話が来たと連絡が有った。
褒賞の受け取りと、その後のささやかなパーティーに出れば後は自由らしい。
うん、俺はすぐにでも国を出ると駄天使とは話し合っていた。
正直、この国には居づらくなっている感じがヒシヒシと感じているのだ。
このまま行けば勢力闘争にも巻き込まれかねない。
逃げるが勝ちだ。
そんな感じで王女ちゃんとは別れて、俺達は湯屋を済ませては宿屋へ行き、明日の登城の支度を済ませては眠りに入るのだった。




