冒険32─何でもかんでも拾っていい訳じゃない。誰だって分かるだろ?
結果として言っておこうと思う。
むしろ、俺の方が勉強になったと思う。
彼ら彼女らはしっかりと基礎をベースに戦略立てて攻めてくるし、何よりも基礎を押さえてる故に安定した攻撃を見せている。
向こうからしたら俺は奇策というとチグハグというか、スキルや加護の影響故の強さの弊害か歪に見えただろうさ。
逆に、彼ら彼女らの動きを学ぶことで俺の動きがもっとスマートにというか、足りてなかった土台部分が完成されるという結果になったと言えよう。
何よりも、朝から全校生で受けてくる生徒に対して朝から夕方まで講義の中で戦い続けるのだ。
どこぞの騎士もびっくりだろうさ。
いや、同じ教職や生徒も驚いてたけれどもさ。
俺も驚いたし、確かにドラゴンモドキを狩り続けてた時は常に集中や戦闘に意識を割いていたから今更言われるとそうかも知れないという程度だったが、今回を来に露呈したようなものだ。
「いやぁ! お仕事の後の飯は旨いわね!」
「そうだなぁ」
そして、1番嬉しいのはここの学校の食堂を利用出来ることだ。
リーズナブルで量もあって、そして何よりも味も良し! コイツの胃袋を満たすことも出来る。
いや、あのギルドマスターの斡旋。蓋を開けてみたら、とても最高じゃないか。
まだ放課後と言うことも有り、遠巻きに俺たちを見てる生徒は居るが話し掛けて来るようなこともない。
あくまでも俺達は彼ら彼女らの中の生活の中の異物だからな、このくらいの距離感が適切なのだろうさ。
とりあえず、食べるだけ食べては飯代を教職割引で払っては帰りに湯屋で汗と疲れを洗い流しては、宿でそのまま夢の世界へ直行するのだった。
そう、そのまま王城からお呼ばれがあるまで、のんびりと過ごせると高を括っていたのがいけなかったのだろう。
「あの…! あの…!」
「はい、なんでしょう?」
「わ! 私を鍛えてくれませんか!?」
そんな感じでアタックしてくる珍しい珍獣が現れたのだ。
それに良く聞けば王女だという。
それに王位継承権を立派に持つという、明らかに地雷が転がって来たのだった。
「いや、恐れ多くもそれは出来かねないです」
「ど、どうしてもですか…?」
「はい、どうしても──「いいじゃない! 泣きそうよ! この子!」」
コイツ! コイツ! コイツ!
あっ、駄天使のぶっ壊れ空気読めない殺法が炸裂した瞬間だと俺が認識した瞬間だった。
目の前の王女は嬉しそうにしてやがる。
おい、俺聞いてるぞ?
今世の王様の下には子は少なく、王子と王女しか居なくて、ちょっと不穏だって。
不穏というのは派閥や暗殺って事だ。
表向きは王子1択らしいが、ドロドロしてるってギルドマスター言ってたぞ?
コイツ、覚えてるのか? 俺が気をけような? 巻き込まれないようにしようって言ってた王女の話とか、そう言えばコイツ記憶力──。
ほら、見ろ。王女からその名を聞いたら顔を白くさせてやがる。自分がどんな地雷を考えなく拾ったか気付いたか。
とりあえず、俺の寿命が縮んだのは確定したのだった。




