冒険30─平和っていいな。野蛮な仕事は根こそぎ無いんだもの(おい、恨むぞ?)
「なぁ、逃げないか?」
「…本気で言ってます?」
「…だよな」
はぁ…いや、ただモチベーションはだだ下がりだ。
急転直下も良い所だ。
珍しくこの駄天使も食欲が湧かないのか少食で抑えては手早く湯屋を済ませては今は一緒にベッドに腰掛けてる次第だ。
「だが、金も無いのも事実」
「節約してなかったからですね」
「は? お前がノンストップ高で食べてたからだ」
「な! レディに美少女に良くそんな暴言吐けますね!」
「寝言は寝て言え!」
「ギャフン」
ギャフンとはなんぞや?
全く、コイツの自己評価はどうなってるんだ。
だが、確かクエストはある程度斡旋してくれるとは言っていたし、それに縋りつつ過ごすしかないか。
とりあえず、ある程度の覚悟を決めては就寝に就くのだった。
「うわぁ~」
「平和ですねぇ〜」
そう、クエストボードの内容はゴミ拾いやドブ洗いや、迷子の猫やペットの探し、はたまた露店の手伝いや農業の手伝い、防壁の建造の手伝いなど多岐に渡っていた。
渡っていたが…魔物討伐的な依頼はからっきしだった。
「まぁ、王都だものな。逆に危ない依頼がワンサカとかそれはそれでヤバい」
「でも、これらから選んでやるって事ですよね?」
「いや、まだ分からんぞ。斡旋内容にもよるはずだ」
「確かにそうね!」
「あ、あの。こちらになります…」
そっと渡された内容は講師的なお仕事だった。
講師? 講師ってあれか? 教師って事か?
「は? 教師やるの俺?」
「えっと、貴族の子息や息女など後は商人の子供などの通う所の専門職の教師らしい。いわばスポットだ」
「お二人でワンペアになります。こちらが報酬金額になります…」
「やりましょう! やるわよ! ほら! 金額! 見てご覧なさいよ!」
あぁ、分かってるよ。
給金は良いよな、給金は!
ただ、これを受け入れるという事は貴族や王族、果ては商人の関係にズブズブになるということにコイツは気づいてるのか?
「あの、断るっていうのは?」
「おい! 俺からの斡旋が受けられないっていうのか? あぁ?」
「あっ、マスター…おはようございます」
「おう。どうだ、良く休んだか? な? いい仕事だろ? 金払いも雲泥の差だぞ? わかるよ、な?」
「あ、はい…」
「よしよし、俺自らが受理しておいてやろう。おら、コレが地図だ。ちゃんと覚えるんだぞ? 内容は書いてる通りだ。実戦の練習時の補助や、時に指導だ。分かったな?」
うん、これ有無を言わせないやつだ。
駄天使を見ても若干目を遠くしてるから諦めたのだろう。
諦めたら、そこで終わりとか聞くけれども。始まるから終わってる時もあるんだ。
それが、今だ。
教えるのは明日からとの事で、服のない俺らはまたギルドマスターから借金をしてはそれなりの服を揃えに行動を開始するのだった。




