冒険28─ドナドナ。ドナドナ。逃げ道は既に無いのだよ。
王都は大きいな。
当たり前だけれども。
王城を囲むように防壁が何層にも築かれていて、各エリアに分けて富裕層や商業、はたまた貧民層まで区画が分かれているのが良く分かる。
そして、1番最後の外周部は現在、鋭意制作中なのか、のどかな農村地域をぐるっと大きく囲むように築かれてる最中だ。
まぁ、何が言いたいかというと、冒険者ギルドまでが遠かったのと、更に宿屋の確保にも手間取ったということだ。
いや、最初は探してから行こうとしたのよ?
けれどもさ、右も左も分からないし、相場も分からん、地理も分からん。
早々に無理ゲーだと判断して冒険者ギルドに来た訳ですよ。
それに何よりも路銀が尽きかけていたから1泊さえも危ぶまれたからな。
そう、隣のコイツのせいだ。
「なによ?」
「いや、こうやって無事に宿が取れてよかったって事さ」
「なるほどね?」
お風呂? 湯屋? そんな金は有りませんよ。
クリーンでとりあえず魔法で綺麗にして我慢だよ。
それでも、コイツは寝る時は一緒だと言い張るのだから大概、根性が据わってると見た。
とりあえず、ここは冒険者ギルドの職員が、ちょっと憐れみの目線の中で手配してくれた宿だ。
朝市にギルドマスターに会ってくれと言われてしまった。
内容は詳しくは会ってからと言われたが、ドラゴンの丸々1頭の取り扱いと、後は王城から何か通達があるらしい。
王城? 貴族? 王族? 騎士とかもそうだけれども、胡散臭さが半端ない。
あぁいうのと関わるのは読み物の世界だけで充分なのだ。
むしろ、服…あるのか? コイツもそうだが、俺達まともな服ってあったか?
やべぇ、俺達基本的に着たきり雀ヨロシクじゃないか?
お金…どこにあるんだよ。
あぁ…更に頭の痛みを感じた気がしたが、そんな俺の気を知らずか、駄天使の奴は枕をポンポンと叩きながら俺を誘って来やがる。
もう、いいや、寝よう。
明日の事は明日の俺が考えよう。
そうして、俺は眠りに就くのだった。
「おいおい、本当に1頭丸ごとじゃないか」
ここの解体屋のおっちゃんの驚きの声ですよ。
「いや、俺もこうやって連絡が合った時は疑ったが本当だとは──魔石もあるな。このサイズだとあるだろうな。1頭丸ごとだとなると、骨…剥製の場合も有り得るのか?」
って、ここで唸ってるのはギルド本部兼、ここのギルドマスターだ。
元ゴールドタグ持ちで若い頃は英雄としても、もてはやされた経歴があるらしい。
「はぁ、これは確実に王族が動くな。ったく、おいギルド長室まで来い。話に付き合ってくれ」
「このお任せで自由って訳には行きませんかね?」
「あぁん? 何言ってんだ、無理に決まってるだろ? 分かるだろ? な? 無理だ、無理。付き合え」
何と言う強引。そしてフィジカルお化け。
ムキムキマッチョなイカツイ顔のギルドマスターに引っ張らながら、それに着いてくる駄天使を見つつ、俺はギルド長室までドナドナされるのだった。




