冒険27─物語は王都へ
さて、どうするか。
口をあんぐり開けてはスヤスヤ隣で寝ている駄天使を横目に俺は考える。
ドラゴンは流石に大事になった。
いや、1部とかなら良いのだが、丸ごとだからな。
どうやら王都へと運ばれるらしいというか、王都でしか扱えないというか、金が無いと言われて今はアイテムボックスの中だ。
そう、なら誰が運ぶかと言われると──俺達だ。
辞めてくれ、目立ちたくないんだ。
だが、もう魔法通信的なやつで王都の本部の冒険者ギルドには通達済らしい。
「はぁ、明日にでも経つか」
準備という準備は食材とかなのだが、有ってもコイツが居れば直ぐに消えるのはもう理解している。
それなら、それ以外は済んでるに近いのだから、乗り合い馬車でも見つけつつ、少しずつ王都へ向かうべきだろう。
自由気ままな旅になると思っていたのに、気付いたら先方を待たせている、自由の無い冒険者みたいになっておる。
いや、原因を作ったのは自分自身なのだから笑えない。
それにしてもコイツは本当に幸せそうに寝てるな。
毒気を抜かれてしまったのか、眠気が再び襲ってきた俺は夢の中へと旅立つのだった。
せめて、夢の中だけは自由で痛いしな。
「っと、言う訳で乗り合い馬車で向かおうと思います」
「わっかりました!」
朝食を食べつつ、宿屋の主人には本日立つことを伝えつつ、乗り合い馬車で王都へ向かう話を駄天使にすると元気に了解の挨拶をしてきていた。
出切れば、ここで路銀の話題とか出るなら、まだアレなのだが…いや、コイツの中ではもうそこら辺の全て俺へ任せているのだろう。
困ったやつめ。
はぁ、とりあえず路銀は大丈夫だろう。
うん、でも王都へ着く頃には無くなりそうな気がするな。
ため息1つ吐いては珈琲を飲み干して、王都行きの乗り合い馬車を見つけては俺達は王都へと向かうのだった。
王都への道中は特にこれといったものは無かった。
いや、嘘を付いた。
乗り合い馬車だから、乗り合いの商人が居たり、その道中で売り買いを主流にしている人達も居た。
距離的にも1日で着く距離ではないので、ご飯時にはゴリゴリと隣のコイツが飯に消費する為に、予想通りに王都へ着く頃には路銀の底が見えそうになっていたのだ。
けれども、何とか間に合った。
ガラガラと揺られながらも、御者の案内で遠くを見てみたら王都ウェストールが見えて来たのだった。
「大きいわね!」
「あぁ、確かに」
正直、目が奪われてしまったのは本当だ。
それにそれを嬉しそうに指指すコイツもキラキラしていやがる。
全く、これからの事で頭を悩ませそうなのに。
とりあえず、でもそういう事は脇に置いておいて俺もその景色に感動しては王都へと馬車は乗り込むのだった。




