冒険26─簡単には帰れませんよ?
うーん、なるほど。
確かにダンジョンコア部屋って感じだ。
真ん中に大きなクリスタル状のコアが安置されていて、床には転送陣が描かれている。
「で、どうするんだ?」
「ちょっと、待ってて!」
パタパタと駄天使はコアへと駆けては、その手をコアへと付けては何かを念じてるようだった。
「アクセス、承認。認証、オッケー。天使ナビ」
「オッケー、オッケー。なら、私の現在の状況下をトレースさせるから、天界への帰り方を教えて」
「トレース、オッケー。天界の帰り方、1つが該当。その方法はナビの死亡を確認すること。しかし、イレギュラーを検知、そのイレギュラーは従魔からの隷属へのシステムの書き換えの際に発生。魂の紐付きが禁固になっています。ナビの死亡はマスターの死亡によって可能。マスターの死亡によってナビの天界への帰還も可能」
「え?」
「ほぅ、何、ならお前は帰りたいと言うことは俺を殺すということか」
「解。隷属下なので、現状は不可能。しかし、隷属下でなければ可能。及び、隷属下でも無くとも魂の紐付けは外すことは現世界の術では不可能」
「なるほど、なら、マスターが隷属者を排除した場合のデメリットは?」
「解、それは該当無し。マスターの魂の紐付けも解けます」
「だ、そうだ。ごめんな駄天使」
「え? 何がごめんなの? えっ? えっ? 嘘ッ、冗談よね? え? 殺すの? なんで?」
「いや、いつ寝首をかかれるか分からないしな。俺の生涯の邪魔は排除するのは当然だろ?」
「……本気で言ってるの?」
「お前、俺のメリットがどこにあると? 信頼関係の構築は?」
「一緒に寝たりとか! 食べたりとか! 後は生活を共にしたじゃない!」
「違う、そうじゃない。寝たりも食べたりもお前が金を掛けすぎたんだ。平穏とか真逆に向かってるんだよ!」
「そ、それで殺すとか言うの?! 頭悪いんじゃない?!」
「あぁ?!」
「ヒィ!?」
こいつ、コイツはトコトン、本当にポンコツらしい。
いや、めっさ泣くな。
被害者は俺だぞ?! いや、違うのか?!
俺が召喚しちまったのか…え、そうなるとやっぱり俺が責任持って、これからもアレなのか? 添い遂げないといけないのか? 嘘だろ?
「ね、ねぇ? あのね? えっとね? 私、向こうだと1人なの。分かる? 1人なの? あの神は他の天使とか雇わないし、私、こんなに可愛いのに周りの天使は寄り付かないというか、余り一緒に居た機会も無いし、同僚は居ないし、ずっと1人だし、あ、アンタと居るのも悪くないっていうか、どうせあの神様もバカンス行ってるし、きっと誰か派遣されて万が一は運営してくれるだろうし」
「だから、なんだよ」
「だ、だから、一緒に居てやるって言ってんのよ!」
「いや、なんでそこは上から目線!?」
「いいのよ! 私優先なの! 文句あんの!?」
「あー、もう、分かったよ! 一緒に居てやんよ!」
とりあえず、剣はアイテムボックスに仕舞っておく。
まぁ、そうだよな。
決して悪いはずじゃ…無いよな?
本当に? いや、うん。そう思うしか無いんだ。
コイツを斬り刻むとか想像出来ないしな。
殺意は湧くがそれは俺の懐事情故だろう。
はぁ…。
「分かりたいこと分かったろ? 帰るぞ」
「えぇ! ドラゴン売らないとね! 今日もステーキよ!」
コイツっ! コイツ! ここだよ! こういう所だよ!
「お前? 本当にさっきの俺の言葉理解してるよな?」
「え? あ、当たり前じゃない!」
駄目だ、この天使。どうにかしてくれ。
俺達は丁寧にコアに挨拶をしつつ、ダンジョンコア部屋を後にするのだった。




