冒険24─需要と供給は供給過多だと破綻する。
「ふぅ──」
「今日も大漁ね!」
29層、やっとだ。
そう言いたかった。
そう、言いたかったんだ。
もう何度目かの29層だ。
22層のレッドボア? あぁ、あれは需要がある程度満たされたから稼げなくなってきたら、現金なコイツは次は例のドラゴンモドキに目を付けたのさ。
間の階層? サイクロプスっていう大きいのとか、レイスとかいう幽霊みたいなのとか居たよ? でも、金にならないんだよ。要はコイツのお眼鏡に叶わなかったって事さ。間に森林みたいなダンジョンもあったよ? ツリー? 木? 需要なんてすぐに終わった。 薬草や香草、実も有ったよ。でも、コイツの美食になっちまった舌の日々の食事に掛かる費用に追いつかなかったんだよ。お陰様で30層手前のここだよ。ずっとだ。ずっとだよ、きっと需要が終わるまでだ、俺には分かる。
「ねぇ! 何してるの! 早く次行くわよ! 向こうで魔力が集まる気配がするの分かるでしょ! 生まれるわよ!」
生まれてるのはお前のおめでたい頭だわ!
ズンズン行くもんだから、俺も合わせるしか無いんだよ。
一回放置しようとしたら、したらでコイツは泣きついて来て離れなかったからな。俺は諦めざるを得なかったんだ。クソッ! この駄天使が! 俺は高いんだよ!
「あんたもやるじゃない!」
「あぁ、そうだな。お陰様でゴールドタグだ。それに30層の目の前だもんな」
「え、えぇ…そ、そうね? は、早く、次行くわよ?!」
これ、もう駄目だ。確信犯や。コイツのダンジョンコアは呼んでる発言は何だったんだ。ダンジョンコアさん、きっと泣いてるで?
まぁ、俺もステーキとかパフェとかケーキとか?
後はお高いお酒とか? 嫌いじゃないけれども? コイツの贅沢が俺にも移ったとか信じないけれども?
はぁ、いいさ。やってやるよ、狩り尽くしてやるよ。
ドランの経済を潤してやるよ。
需要を満たしてやるよ! やれば良いんだろ? やれば! あぁ、やってやるさ!
俺達はここから先は語るまでもない。
ドラン所じゃない。
ドラゴンモドキは本当に貴重らしかった。
王都と呼ばれる場所やはたまた、諸外国と言えば良いだろう。外国にも流通していたらしかったが、ある程度の値崩れが起きるまでダンジョン内の魔物、曰くモンスターの出現がコストが29層のドラゴンモドキには掛かるんだろう。
それらが現れるのが鈍くなっては調査が入る一歩手前まで刈り尽くしたのだ。
そうだ、狩りじゃない。刈りだ。
気付いたら俺の戦闘センスも磨かれていたらしい。
うん、魔法もそうだ。
まぁモドキといえドラゴンだ。
ハハッ。ヤバい、後ろ指指される前に逃げないとな。
コイツもそんな空気感は感じたのだろう。
「そろそろ、ダンジョンコアちゃんが呼んでるきがするのよね! アンタもそう思うのでしょ?」
「そうだな! 俺も聞こえた気がするわ! 聞こえたら急げというものな!」
「善は急げっていうやつね!」
「おうよ! はよ、行くぞ!」
そんな会話がやっと俺達の中で生まれていたのだった。




