冒険20─ダンジョンだって生存戦略はしてるのよ
「つ、疲れた」
「わ、私も」
「帰ろう」
「さ、賛成」
うん、疲れた。
いや、よく思えば今は15階層。
ここまで歩いてくるだけでも一苦労だ。
魔物? 周囲の冒険者が間引いてますよ。
むしろ、やっとシルバー帯の冒険者の出番って感じのレベル帯みたいだ。
心なしか皆生き生きとして見えますよ。
「なんか、思ってたダンジョンと違ったわ」
「それ、私も思いました」
「いや、なんでお前が思う? お前はどちらと言うと、こっちの世界サイドだろ?」
「何言ってるんですか! 図書館の1冊の本の中の出来事みたいな感覚で、その中の1冊の雰囲気は本のタイトルで把握していたけれども、読んでみたら中身が大味で違ったとか、繊細だったとか、そんなレベルなんてすよ!?」
「あ~、世界は沢山あるのね」
「そりゃ、そうですよ! 当たり前ですよ!!」
「いや、その常識は俺には知らんて。まぁ、お前の立場はわかったよ。悪かったって」
「分かりゃあ、いいんですよ! その中でも頑張ってる私、天才じゃ有りません? ね? そう思うでしょ?」
「それとコレとは話がちげぇわ! いや、くっつくなって! 臭い!」
「臭い?! レディに向かって臭いですって?! ねぇ?!」
あー、始まってもうた。
とりあえず、もう諦めよう。
暫くしたら落ち着いてくれるだろう。
一応、魔物は出始めているというか、やっとエンカウントし始めてるんだ。
くっついてたら大変なの、コイツは気付いてるのだろうか。
哀れな目を向けていたら、やっと恨みがましい目をしつつも離れてくれた。
ムスッとしてるコイツを宥めつつもこの階層の降りた入り口に戻ってきたら良い感じの魔法陣が有る。
「なんかサービスマシマシだよなぁ」
「まぁ、利用者というか捕食対象に旨味が無いと餌が来ませんからね。サービスの一環ですよ」
「身も蓋もねぇな。ファンタジー要素どこ行った」
「目の前に広がってるじゃ有りませんか!」
あー、うん。
広がってるな、生き生きと狩りに向かう冒険者一行が転送されて来ては向かって行ってるわ。
なんか、まぁ事故死みたいなのはあるみたいだけれども。基本的には沢山密集してくれるだけでも魔力は集まるから良いらしい。
全部吸い取るか、少なくともチューチューと時間を掛けては母数を増やして沢山吸うかの違いらしい。
そう見るとここのダンジョン経営は大成功してるのだろう。
皆、ギラギラした目で沢山魔力を放ってはダンジョンに向かってるのだから。
ダンジョンとは恐怖の対象でも有って、共存対象でもあるのだろう。
まぁ、踏破されても其処に有るって言うことは、そう言うコンセプトって事なのだろう。
現実的だぁ──。
そう、思いながらも魔法陣に魔力を流すと、此処まで来たのは記録されつつ、いつでも来れるようになりつつ、俺達は一番最初のダンジョンの一階層の入り口に戻ってきたのだった。
またここから冒険したい時は階層を感覚で得ながら飛ぶだけなのだから、そこはファンタジーなのだろう。
では、帰るか。




