冒険19─ダンジョンって魔物ばかりだと思いました? いいえ、その逆でした。
いやぁ、冒険者多いね。
見渡す限りは魔物よりは冒険者だ。
むしろ、魔物が見えん。
「コレがダンジョンねぇ」
「だねぇ」
「魔物居ないねぇ」
「そうねぇ」
うん、マージで居ない。
階層を降りてみても似たような感じだ。
「あれ、此処って何階層だったっけ?」
「30階層って言ってなかったっけ?」
「ナビ的な力は?」
「……」
なんだろう。
あれ? ナビって、何が出来るんだ?
そう言えば、最初のマップの時も近場位しか出てこなくて後は更新待ちみたいな感じで表示された気がしたけれども──もしや、コイツ…サボりの常習犯なのか?
「なによ? 文句あんの?」
「いや、いいさ。うん、お前はそういうやつだった」
「あ! なんかムカつくんですが! ねぇ! ねぇ!」
「あ~、あ~、あ~」
服を引っ張るな、伸びるだろ。
服だって高いんだぞ!
って、言ったら言ったで揉めるんだろうな。
とりあえず、引っ張られながらも魔物も現れない階層を俺達は歩いていく。
「やっと空いてきたな。もう10階層だぞ」
「30階層だとしたら中級って感じかしら?」
「まぁ、ザックリだとそんな感じかもな」
冒険者も疎らになってきてる気がする。
それに魔物っぽい雰囲気もする。
マップならぬマッピングは出来てるようだから、迷うことは無いだろう。
とりあえず魔力の流れっぽいので階下へのポイントも分かるし、そちらへ向かってみるか。
「おっ、やっと発見。ゴブリンか?」
代表的なやつだなぁ。
それにちゃんと武器も持っている。
中級って事かね。
なら、俺も武器を出しますかね。
アイテムボックスから、そこら辺で買った剣を取り出しては自然な形で構えてみる。
うーん、何となく剣の扱い方が分かる感じは未だに慣れないな。
「グギャ!」と声を上げて、こちらへと突っ込んで来るゴブリンの剣筋をこちらの剣で受けては跳ね上げて、そのまま斬り込むと呆気なく終わりだ。
死体はそのままでもダンジョンに吸収されるし、一応ギルドタグにも討伐記録は分かるようだから、このままで良いだろう。
振り返ったら、アイツの方も終わらせていたみたいだった。
「肩透かしね」
「いや、でもやっとダンジョンって感じが味わえたぞ?」
「確かに! なら、早く先に進みましょ! ほら! 早く!」
「はいはい、分かりましたよ」
全く、どっちが保護者みたいな立ち位置なんだか。
とりあえず、先に階下へと進み始めるアイツを追い掛けつつも、俺もダンジョン攻略をどこか楽しみ始めていたのだった。




